水子の供養

水子とは?

水子の供養のイメージ

水子とは、幼くして亡くなった子どものことで、流産や死産の胎児や乳幼児のことを指しています。昔は今のようなレベルに医療技術がなかったために、この世に生を受けずに亡くなるケースが珍しいものではありませんでした。また、1970年代頃からは、中絶手術を行う妊婦が多くなり、少しでも気を紛らわせられるように、同時に堕胎した赤子が成仏できるようにという気持ちから、水子の供養が広まっていったとされています。

水子の供養の種類

水子供養は、寺院が行っています。また寺院の宗派や宗旨によって、いくつかの水子の供養の種類が設けられているのが一般的です。お経を読み上げてもらうだけの「読経供養」、読経後に戒名を授かり水子永代霊名帳に戒名を記す「戒名供養」、位牌を造立して永代に渡って供養する「永代供養」などがあります。他にも、「南無水子地蔵尊」などと記されたのぼりを奉納したり、開運にも効果のある護摩を焚いての供養方法、水子地蔵を開眼させて水子地蔵堂に安置する寺院などもあります。

正式な水子の供養

水子の供養にはいくつも種類があり、寺院によって異なる方法で行っていますが、正式な供養を行うなら「永代供養」が必要と言われています。一霊一基の位牌を作り、戒名(あの世での名前)を付けて供養します。位牌は水子の魂を宿すために必要で、骨や遺品のない水子には欠かせないものとなります。また通常、俗名(生前に名乗っていた名前)がないため、戒名を付けることができない場合は、経典から文字を抜粋して戒名として授ける形をとります。戒名は漢字二文字で表し、戒名につく位号は水子「すいし」と読みます。したがって、亡くなった胎児には「――水子」という戒名が付けられるのです。

お供え物は基本的に子どもが好むお菓子類が良いとされていますが、亡くなった子どもの月齢、年齢に合わせてお菓子の種類を変化していくと水子に気持ちが伝わるとされています。お花やお菓子などを供えて塔婆を立て、お経をあげて寺院等で供養することが、正式な水子の供養となるのです。

集団での供養、個別での供養というように、寺院によって供養方法も異なっています。費用や供養後のお参り可能な時間帯なども、寺院毎に違いがあるようです。供養後、水子の遺骨や遺体がある場合は、納骨することも可能で、共同墓地と個別墓地から選ぶことができます。また、胎児の水子の場合なら、妊娠検査の際に受け取ったエコー写真を供養してもらえる寺院もあり、少しでも早く成仏してもらえるようにと、エコー写真をお焚き上げしてくれます。

水子の供養で気になるのは宗教(神道や仏教など)や宗派の問題ですが、水子の供養では一切その辺は関係していないので、安心して供養することができます。寺院側も「宗派や宗旨が違う」という理由で断ることはないのです。ただ中には、各個の問題から水子供養自体を行っていないケースもあるので、寺院に問い合わせておく必要があります。

水子の祟りについて

供養をしていない水子は、不成仏のままこの世をさまよっていると言われています。ただ、不成仏だから祟られるということはありません。「水子の祟りがある」と言われているのは、人工中絶が頻繁に行われるようになったため、少しでも小さい命を救えるようにという思いから言われてきた迷信のようなもの。赤ちゃんや子どもは「憎しみ」「恨み」という感情を持っていない純真無垢そのものなので、祟りが起る事は考えられないと言えます。ただ、成仏できない苦しみの世界から「供養してほしい」という気持ちを訴えかけているために、正式な供養をしてあげることが、親としてしてあげられる最大の気持ちになります。

命日について

亡くなった日を命日と言いますが、一年毎の同じ日に水子の供養してあげるのが一般的です。正しい命日が分からない場合でも、祈りと供養する気持ちがあれば供養することは可能です。また、は地蔵尊大法要という大きな行事があります。地蔵の縁日と言われていて、水子の親代わりとなってくれているお地蔵様に感謝し、水子たちの幸せを願う盛大な行事です。命日や地蔵尊大法要などに供養してあげることで、水子の魂も成仏させることができるのです。