ジョン・ディー

ジョン・ディーの生涯

ジョン・ディーのイメージ

ジョン・ディーは、に存在したイギリスの著名な錬金術師にして数学者、そして占星術師であり魔術師でもあるとされています。ケンブリッジ大学卒業後、大学講師をしていましたが、にエドワード6世の宮廷占星術師(兼・宮廷学者)になったことで広く名前が知られるようになりました。には、魔術師として投獄されましたがすぐに釈放され、より水晶玉による心霊研究に取り掛かるようになりました。その際、水晶に現れた大天使ウリエルと交感を持ち、天使の言語を「エノク語」として記録したのです。このエノク語の研究には、錬金術師として名を知られるようになるエドワード・ケリーという助手を交えて行っています。

エリザベス女王の寵愛を受けていたジョン・ディーですが、聖職者からは魔術活動のために阻害されており、最終的にはジョン・ディーとエドワード・ケリー、そしてその家族は英国から追われることになります。その後、ディーとケリーはポーランドやボヘミアで交霊術を披露して貴族たちの間で評判となるのですが、その後、エドワード・ケリーは魔術師として罰せられ死に至ることとなります。残ったディーは後にイギリスへと戻り、彼のことを気に入っていたエリザベス1世に迎えられ、大学校長に就任します。しかし、魔術のことを嫌っていたジェームズ1世が即位するとディーは職を失うこととなり、同じ年に貧しい生活から抜けられないまま世を去ってしまうのでした。

ディーの活動キーワード

エノク語

水晶の中に現れた大天使ウリエルの言葉を、ディーの助手のケリーは解読することができたとされています。ケリーが言葉をディーに伝えて、エノク語は成立したと言われています。ディー自身は霊視ができなかったのですが、ケリーは霊的な物を見る霊視能力が備わっていたとされ、ケリーなくしてエノク語は誕生しなかったと伝えられています。当時、天使と交信できることは、すなわち宇宙と交信できることを意味しました。ちなみにエノク語は、英語によく似た言語であると言われています。

ネクロノミコン

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説に登場する魔道書「ネクロノミコン」、このアラビア語版を翻訳したのがジョン・ディーになります。錬金術師や占星術師として知られているディーですが、大学校長にまで就任したほどの人物なので、言語学にも長けていたとしても不思議ではないと言えるでしょう。

数多くの肩書き

ジョン・ディーはあらゆることに長けた才人であったと言われており、数学者、哲学者、天文学者、古代史家、暗号学者、錬金術師、魔術師、交霊術師と多数の肩書を持っていたとされ、それだけ知識人であったとも言えます。また彼は大変な読書家で、ジョン・ディーの蔵書を集めて公開する展覧会「ジョン・ディー展」が開催されたこともあるほどです。ディーの蔵書はイギリスの図書館に寄贈されており、各本には本人の書き込みも見られるそうです。またエノク語の元となった大天使ウリエルが現れたとされる水晶玉も、イギリスの美術館に保管されているなど、ジョン・ディーの生きた証は今もイギリスに数多く存在しているのです。