お祓い

お祓いとは

お祓いのイメージ

身に降りかかった災厄を取り除くための神事のことを「祓(はらえ・はらい)」、一般的には「お祓い」といいます。多くの場合、神前で行われる神事や呪術を指し、罪・穢れ・災厄などのあらゆる不浄を取り除き、かわって利益を求めるために行われます。お祓いの基本は、神に祈りを捧げることです。罪や穢れ、災厄をもたらしているのは、禍津神(まがつかみ)と呼ばれる神であり、この神にその場から立ち退いてもらうことで、負や悪の状態から逃れられます。お祓いを行うことができるのは、神に仕えて我々一般参拝者との間を取り持つ役を担う神主などの神職者たちです。

神社で行われるお祓い

お祓いは神への祈りである以上、行われる場所の多くは神とつながる場所である神社となります。そして、そのお祓いの儀式は、神に通じる言葉である祝詞を奏上し、祓物を依代とし、金幣を振り、玉ぐしを捧げるという形式をとります。ただし、神事のスタイルは、そのお祓いの内容や神社に祀られている御祭神によっても変わってきます。また、神社で神に厄除けの祝詞を奏上して謹製される神札も、お祓いと呼ぶことがあります。これは、神社で購入して持ち帰り、身につけたり、家や車などに置くことでお祓いによる、罪や穢れや災厄を取り除く効果を身近に所有する方法として広まっています。

神社以外で行われるお祓い

実際には神社以外の場所で行われるお祓いもあります。神職者が出向いて行われる地鎮祭もその一つということができるでしょう。また、神職者の自宅、時にはお祓いを求める者の自宅などがお祓いの場所となることもあります。これらは、何らかの事情で、お祓いの対象となる人や物を動かせず、そこに神職者が行って神事を行う必要がある場合です。このほか、神職者ではない者が独自に行うお祓いもあります。霊能者などが行うもので、霊能者の自宅、お祓いの対象となる人物、場所などでお祓いを行います。この場合のお祓いは除霊とほぼ同意味として扱われ、神社で神職者が神に祝詞を捧げるお祓いとは一線を画したもととして認識される場合が多いでしょう。

自分でもできるお祓い

神社や神職者に頼らず霊能者によってお祓いを受けることができるように、実は個人的にもお祓いに近い行為は可能です。ただし、本格的な神事をむやみに真似るのは大変危険です。自分で行えるお祓いはごく簡単なものに限られ、その方法や効果には限界があることを知っておきましょう。身近な方法としては「浄め」があります。食や生活を制限し、神社などから頂いた神水で身を浄め、自宅や身の回りも整理し拭き浄めます。次に自然な風、光を取り込みます。窓を開け放って風通しをし、太陽の光や月の光を受けることで自分自身を含めた身の回りすべてを浄化することができます。さらに加えて、香をたいたり盛り塩をしたりすることで、入り込もうとする邪や魔、穢れなどを阻みます。

お祓いと除霊

お祓いと除霊のどちらも、神職者と霊能者のどちらにも行うことができます。ただし、その効果のほどは、専門とする分野によって異なってきます。神の力を借りるお祓いは神職者によって行われるものが最良であり最大の力を発揮しますが、除霊の場合には霊と直接対話のできる霊能者のほうが対処しやすい場合も多いようです。

お祓いにできること

お祓いという行為にできるのは、穢れを落とし、寄り付かないようにすることです。穢れがついたことで起きてしまったケガや病気、人間関係のもつれなどを直接修復することにはつながりません。また、お祓いがもたらしてくれるだろう効果を信じなければ、その効果は半減します。祈りを捧げることが、自分自身がそれに注意を払うことにつながり、効果がより生きてくるのです。わかりやすい例では、交通安全のお祓いを受けた時、お札やお守りをいただいて、それを普段の運転中などに目にすることで交通安全のお祓いを常に意識し続けることになり、安全運転を心がけるために効果がより上がる、そんな相乗効果がお祓いには含まれています。

お祓いは、日本人の生活の中に密接に関係しています。葬式の後には塩をまきますが、これも死に近づいたことで受けたかもしれない穢れを祓う儀式です。結婚式で修祓を行うのも、神を結婚の席にお招きする前に穢れを祓うのが目的です。先にあげた地鎮祭も七五三も厄除けも初詣もすべてがお祓いの儀式ということができます。さらには、交通安全、家内安全、受験合格などもまた、それぞれの状況で不幸を導く禍津神に退いてもらうことを目的とするお祓い行為にほかならないのです。こうしてみると、日々の生活にいかに多くのお祓いが存在しているか驚かされます。