都市伝説

都市伝説とは

都市伝説のイメージ

都市伝説とは近代から現代において、普通の人々によって語り継がれて広まった、根拠が不明もしくは曖昧な噂話を指します。大勢の人が参加している伝言ゲームのような噂話、と表現されることもあります。

近年では語り継がれるだけでなく、ネットから広まった噂話も都市伝説として扱われ、多くの人々が興味を持って楽しむ対象となっています。

都市伝説の定義

都市伝説と呼ばれる物語は多様化する一方ですが、基本的に以下のような定義があるとされています。

作り話であること

実際に起きたこととして語られるものの、「実在しない人物が体験した実在しない話」であることです。そのため、本当にあったことのみが語られる実話は、都市伝説に該当しません。ただし、要所要所に事実が織り込まれている話、または事実が大幅に拡張されている話は、都市伝説の定義の範疇となっています。

特定できない人物の話であること

決して話をする本人が経験したのではなく、知らない誰かに起きた不思議なできごとであることです。都市伝説では主に「友達の友達」や、「遠い親戚」などが体験したことが語られています。つまり、身近な関係に感じるけれど、実際は顔さえも知らない人物の体験談です。また、同じく特定できない「ある女性」や「ある男性」の体験談も、都市伝説のお決まりとなっています。

都市伝説の特徴

都市伝説には、以下のような複数の特徴があげられます。

起承転結がある

実際にあったことではないからこそ、話の長さに関わらず見事な起承転結で構成されているものが多いです。特に、結にあたるオチ部分が見事であることが多いため、最後の最後まで聞き手を飽きさせることがありません。

リアリティがある

実在する地名や企業名が出てきたり、有名な事件を連想する描写が織り交ぜられていたり、身近に感じる人物(友達の友達)の体験談であったりするため、強いリアリティがあります。嘘の中にいくつかの真実を散りばめることによって、いかにもありそうな話になるのです。

設定が作りかえられる

聞き手がより興味を持つよう、話に出てくる地名や企業名、細かな設定などは話し手によってさまざまに変化します。例えば話の大筋は変えず、妙な噂のある大手チェーン店の名前だけ近所にある店の名前にしたり、体験者の性別だけ変更したりするなどです。

代表的な都市伝説

1度は耳にしたことがあり、本当の話だと思っていた人もいるであろう定番の都市伝説を紹介します。

口裂け女

マスクをした髪の長い女が子供に「私、きれい?」と尋ね、「きれいです」と答えると「これでもか!」と言ってマスクを外します。その女の口は耳まで裂けていたそうです。
1970年代後半に、日本中の子どもたちを恐怖に陥れた都市伝説です。当時は不審者として警察が警戒するほどの噂となりました。口裂け女は大きな鎌を持って時速100㎞で走るという話もあります。

下水道に棲む巨大ワニ

飼えなくなってトイレに流した、もしくは下水道に捨てたワニが地下の下水道で巨大化して生息しているという話です。海外から日本まで伝わってきた都市伝説だとされており、映画化もされています。

耳から出た白い糸

ある女性が、耳に空けたピアスの穴から白い糸が出ていると言われたので引っ張って抜いたところ、目の前が真っ暗になりました。「電気消さないでよ~!」と言いましたが、じつは彼女が引っ張った白い糸は視神経で、失明していたのです。
実際は耳に視神経は通っていないため、垢や皮脂だと言われています。

おんぶ

ある男が妻を殺害し、死体は台所の床下に埋めました。男は母親がいなくなってから何日たっても息子が何も聞いてこないことを不信に思い、「何か聞きたいことはないか」と訊ねてみました。すると息子はこう言ったのです。「お父さんは、どうしてずっとお母さんをおんぶしているの?」。
じつは明治時代から似たような話があったと言われている、安定の都市伝説です。

近年の都市伝説の傾向

2020年代以降は、インターネットが都市伝説を広める大きな手段のひとつとなりました。個人がさまざまな情報をただちに共有できるため、新しい都市伝説が瞬く間に広がる環境だと言えます。特に、ネット上の巨大掲示板では非常によくできた新たな都市伝説が次々に生まれました。インターネットの性質を生かして実況形式で話が進む「きさらぎ駅」、読みものとして書かれた長文の「リゾートバイト」などが代表作としてあげられます。

今後はますますネット社会になり、興味深い新たな都市伝説が世界中から誕生することは間違いありません。現在、都市伝説には多くの種類があります。建物、場所、動物、殺人、伝染病、汚染、陰謀、国家、企業、薬、心霊……。これだけ都市伝説が多様化すると、もしかしたらその中に真実の物語があり、都市伝説からは外れる、という恐ろしいことが起きるかもしれません。