催眠

催眠とは

催眠のイメージ

催眠とは、第三者や自然現象などから、その人が暗示を受けやすい変性意識の状態にあることを言います。別の言い方をすると、「非催眠者が知性や批判力などの自意識を解放して、催眠誘導者に対して自己を委ねている状態」、となります。つまり、判断力や決定力を相手に委ねている状態というわけです。

人の意識とは

そもそも、人の意識には3つの要素があるとされます。すなわち「清明度」「質的」「広がり」のことです。このうち、広がりが低下して意識が狭窄した状態を催眠状態と称するのです。催眠状態は、批判能力を除外する潜在意識レベルに誘導させることであると言えます。

人には潜在意識と顕在意識があり、普段の私たちは顕在意識の中にいます。顕在意識とは、物事を自覚している状態であり、行動を自分で意図的に実行することが出来ます。試験があるから勉強しなくてはいけない、明日は朝が早いからもう寝なくてはいけない、というように、自覚している物事によって行動がなされていることです。しかし一方、潜在意識は自覚がない状態のことを指しています。無意識のうちにやってしまったことで、「思わず●●してしまった」というのは潜在意識による行動になります。

何かに没頭しているときに、肩を叩かれてハっとしたということはありませんか?そういうときは、潜在意識の行動をしていたことになるのです。人の意識とは、10のうち9が潜在意識、残りの1が顕在意識と言われており、実は潜在意識で行動していることが多いのです。催眠とは、この顕在意識と潜在意識がリンクすることなのです。

催眠状態に入るとはなにか

人は催眠状態に陥ると、外界からの他の概念が遮断され、意識がひとつに集中されます。例えば読書をしているときに、物語の世界に没頭して、周囲の音や景色をシャットアウトしていることがあるでしょう。これも一種の催眠状態であり、霊能やスピリチュアルの分野ではトランス状態とも言われています。ひとつ補足しますが、催眠状態とは決して睡眠状態のことではありません。はっきりとした意識があり、仮にどんなに暗示にかけられたとしても、その人がやりたくないことはやりません。ただ潜在意識で求めている内容が、表層に上がって来て行動を意識するということです。

現代の催眠について

催眠に関して、催眠療法(ヒプノセラピー)としてセラピーに使われる場合と、舞台催眠といってエンターテイメント的に使われる場合と2つあります。イギリス、アメリカなどでは、催眠療法は一般にも認められていますが、日本ではまだ正式に承認されてはいない療法になります。とは言え、日本にも催眠に関する組織がいくつか存在しており、医師、歯科医師、臨床心理士によって学会が構成されていて、組織立って活動をしています。催眠療法の内容は、潜在意識にある事象に暗示をかけるということ。

悩みの原因を導き出して改善をはかったり解決策を見付け出したり、あるいは苦手意識をなくしたりと、基本的に潜在意識を肯定的な意識へと誘導させるように用いられています。例えば、対人恐怖症の人などには、大きな効果を発揮することがあるとされています。一方で舞台催眠は、テレビやステージで行われるパフォーマンスであり、どこまで真実(本当に催眠状態に入っているのかどうか判断すること)なのか、その真意は定かではありません。そのため、舞台で行われる催眠(催眠術)と催眠療法とは、まったく別ものとして考えておいて良いでしょう。