八幡の藪知らず

八幡の藪知らずとは

八幡の藪知らずのイメージ

千葉県市川市八幡にある森のことで、人が足を踏み入れることを禁止する「禁足地」です。本八幡駅から徒歩5分程、車通りの多い国道14号線に面した住宅街にあります。わずか100坪ほどの鬱蒼とした竹林で、「不知森神社(しらずもりじんじゃ)」と書かれた鳥居と祠に護られています。正式名称は不知八幡森(しらずやわたのもり)といい、近隣の葛飾八幡宮が社宝として管理をしています。八幡の藪知らずは江戸時代から禁足地として存在しており、「一度入ったら二度と出られない」「竹藪を切り拓くものは死ぬ」という言い伝えが今でも残り、恐れられています。国語辞典にも項目があり、「ここに入れば再び出ることができない、祟りがあるといわれる。転じて、出口がわからないこと、迷うことなどにたとえる」となっています。慣用句として用いられるほど有名なミステリーであるということです。

八幡の藪知らずが禁足地になった理由

八幡の藪知らずには正確な文献が存在しないため、禁足地になった理由は謎に包まれたままです。しかし、江戸時代に記された日記や紀行文から以下のように様々な推察がされています。

  • 日本武尊が陣所としていた土地であるため
  • 平将門が朝廷軍と戦った際、将門軍の鬼門にあたる場所だったため
  • 平将門の墓所であるため
  • 平将門の首を守り抜いた家臣が、そのまま泥人形へと姿を変えた場所であるため
  • 平良将(将門の父)の墓所であるため
  • 平貞盛が将門平定の際に八門遁甲の陣を敷いた土地であるため
  • 藪の中央の窪地から毒ガスが出ているため
  • 藪の中央に底なし沼があるため
  • 古代の貴人の墓所であるため
  • 葛飾八幡宮の行事、放生会の聖地であるため
  • 葛飾八幡宮を勧請した聖なる土地であるため
  • 葛飾八幡宮の跡地であるため

八幡の藪知らずが禁足地になった理由

八幡の藪知らずにはいくつかの伝説や怪談のようなものが存在します。

水戸黄門

八幡の藪知らずには、あの有名な水戸黄門が足を踏み入れたとされています。 諸国を旅していた水戸黄門が噂を聞き、馬鹿げた話だと単身で八幡の藪知らずに入りました。しかし、振り返ると入ってきた道は消えており、妖怪に取り囲まれていたといいます。そこへ老人の姿をした神様が現れ「戒めを破って入るとは何事か、汝は貴人であるから今回は許すが、以後戒めを破ってはならぬ」と告げたそうです。この話は後に錦絵となって広まり、全国が知るところとなりました。

機織りの音

中から機織りの音がすると言われていました。周辺では若い女性が夜な夜な機織りの道具を借りに来て、翌日返されたものには血のりがついていたという噂がありました。

里美安房守の亡霊

馬に乗った里美安房守の亡霊が目撃されたといいます。

火の玉や人影

深夜に前を通ると、火の玉や白い人影が見えることがあると言われています。

外から見る限りでは全貌が見渡せるほど狭く、迷うとはとても思えない八幡の藪知らず。一歩中に入ると喧騒も入口も消え去り、一生元の世界へは戻れない別世界で立ちつくすことになるのでしょう。