ルルドの泉

ルルドの泉とは

ルルドの泉のイメージ

フランス南西部、スペインとの国境付近にある小さな町、ルルド。そこにあるのが、「ルルドの泉」です。不治の病をも治す神聖な水が湧いているとされ、世界中から奇跡を求めた人々が訪れています。ルルドの泉は、1858年、ベルナデッタという少女が聖母マリアから啓示を受けて掘り起こしたのが始まり。そのため、現在ではカトリック最大の巡礼地となっています。1876年には、信者からの献金によって美しいバジリカ聖堂も創建されました。

少女ベルナデッタと奇跡の泉

1854年、少女「ベルナデッタ・スビルー」は、友人や妹と共に郊外のマッサビエルにある洞窟で薪拾いをしていました。すると、ベルナデッタの前に白い服を着た聖母が現れたのです。その姿は、ベルナデッタにしか見えなかったといいます。すぐさま祈りを捧げたものの、あっという間に消えてしまいました。その後、聖母は18回もベルナデッタの前に出現したといいます。当初、大人たちはこの話を本気にしていませんでした。少女たちによる単なる噂話だと思っていたのです。ところが、2月25日の9回目の出現で事態は変わります。聖母はベルナデッタに「泉の水で顔を洗いなさい、洞窟の土を掘るのです」と告げました。言われた場所を掘ると泥水が湧きだし、徐々に清水へ変化したといいます。驚くべきことに、その水は数々の病を癒やし、奇跡的な治癒をもたらす力を持っていました。これが、今も続く「ルルドの泉」伝説の始まりです。

その後もベルナデッタは、聖母が出現する度にその名を訪ねました。1858年、聖母は初めてその問いに「無原罪の御宿り」だと答えます。人々は、貧困で学校に行けなかったベルナデッタがこのような言葉を口にしたことで、本当に聖母マリアが出現していることを確信しました。

ルルドの泉の奇跡

ルルドの泉は現在も、沐浴や飲水によって難しい病に奇跡を起こしています。ルルドの泉によって起こる奇跡はカトリック教会が厳しく検証しており、そこで公認されなければ奇跡として扱われません。20名程の医師によって議論し、医学的に説明がつかないと判断され、初めて認められるのです。現在、このシビアな「ルルドの奇跡」に認定されているのは70例程だとされています。

ベルナデッタのその後

ベルナデッタは、聖母マリアと交流した奇跡の聖女として扱われるようになりました。しかし、その話を積極的に語ることはなく、一目会いたいと切望する人々の申し出を断り続けたといいます。1866年、ベルナデッタはヌヴェール愛徳修道会の修道院に入り、シスターとして一生を送ることにしました。元々丈夫ではなかったため35歳の若さで亡くなりますが、最期は聖母マリアに会ったことを認めていたといいます。

ベルナデッタの腐敗しない遺体

ベルナデッタは1879年に死去し、棺に納められました。それから30年後の1909年に棺を開けられたとき。彼女の遺体は一切腐敗せず、まるで生きているようだったといいます。このように時間を置いて遺体の確認をすることを列聖調査といい、腐敗の兆候がなければ聖人の証となります。ベルナデッタはこれにより、聖女に列せられました。現在はガラスの棺に入り、蝋のマスクをかぶせられ、熱心なカトリック信者の訪問を受けています。

まとめ

たった一人の少女が起こした、聖母マリアの奇跡。カトリック教会が認めていない件数を含めたら、一体どれだけの奇跡が起き、どれだけ多くの人に救いを与えているのでしょうか。ベルナデッタは間違いなく、聖女と呼ばれるのにふさわしいでしょう。