解脱

解脱とは

解脱のイメージ

仏教において解脱とは、人間があらゆる煩悩から解放され、悟りの境地にいたることをさします。良いことが起きても悪いことが起きても動じることなく、物事の変化に心を左右されない状態です。どのような人物も出来事も、平等に判断することができます。苦しみや悩みが無くなることで心の自由を手にいれますが、それだけでは他者の心を理解できず独善的になってしまいます。お釈迦さまは、自分自身とこの世の全てを一体だと考え、悩み苦しむものに自然に手を差し伸べるといいます。その状態こそが、本物の解脱だと言えるでしょう。

お釈迦さまの解脱

お釈迦さまが解脱に至った日は、今から約2500年前の12月8日。現在は成道会と呼ばれ、世界中の仏教徒が感謝の気持ちを持ってお祝いする日です。

お釈迦さまは王族に生まれ、裕福な暮らしをしていました。しかし、「人はなぜ、苦しみながらも生きるのか、人が決めた身分とは何か、この世界はなぜ存在するのか」、そのような真理を追い求めるようになったのです。お釈迦さまは恵まれた王子の身分を捨て、大切な答えを見つけるために出家をしました。誰にも真似できないほどの苦行を6年間続けた末、身体を痛めつけることで真理は得られないと気付いたのです。お釈迦さまは村娘のスジャータから乳粥をもらい、修行で疲れ切った身体を回復させました。そして、菩提樹の下で 瞑想に入ったのです。7日目の12月8日、とうとうお釈迦さまは悟りを開き、人々に惜しみなく法を説く決意をしたといいます。

六道輪廻からの解脱

仏教徒が目指すのは、六道輪廻からの解脱です。人間は、6つの状態を絶えず巡っています。それが、「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天」です。それらをわかりやすく紹介します。

地獄

心が怒りに占領されている状態です。人を責め立て、やったやられたに夢中になり、喧嘩を繰り返します。

餓鬼

貪り、欲張っている状態です。物質だけにとどまらず、愛情や名誉まで限りなく求め続けます。どれだけ足りていても満足できないのです。

畜生

知恵がなく愚かな状態です。物事の道理もわからず、本能のままにやりたいことだけをやります。

修羅

何事も自分本位に、利己的に考えて行動し、争いが絶えない状態です。戦場のような様を指します。

地獄、餓鬼、畜生、修羅の4つの心をそれなりに抑え、極端にならない普通の状態を指します。

歓喜の状態を指します。しかし、その歓喜も永遠に続くものではありません。

まとめ

私達の心は6つの世界を繰り返し巡り、まさに六道輪廻しているのです。ここから解脱する教えが、仏教だといえます。解脱に至らない限り、苦しみも心配も尽きることはないでしょう。