心霊写真
心霊写真とは、画像の中に霊が写り込んでいる写真、また霊的な力によって画像に特殊な変化が起きている写真のことです。霊そのものの姿が写ったもの以外にも、陰影や色合いが異様に変化しているもの、鏡にありえないものが写り込んでいるもの、また被写体の身体の一部が消失しているものなど、さまざまなバリエーションがあります。日本では昭和40年代に起きたオカルトブームで認知度が急上昇し、それ以来、テレビの心霊バラエティ番組やオカルト本などで定期的に取り上げられています。
心霊写真の歴史
のフランスで銀板写真法が生まれ、写真の歴史はそこから始まります。そして最も古い心霊写真の記録はそれから20年ほど後のとなります。米国人の宝石商ウィリアム・マムラーが友人のスタジオで撮った一枚の画像に、12年前に死去した従兄とよく似た存在が写り込んだのです。この写真はマムラー本人の手により公開され、当時欧米でオカルトブームだったこともあり、大変な注目を浴びました。
それからというもの、マムラーは心霊写真家として活動を重ね、巨額の金を稼ぎましたが、「マムラーの心霊写真は捏造である」との告発により、裁判に掛けられ、重ね写しの手法であることが暴露されました。しかしこの告発を経ても、心霊写真の大ブームが衰えることはありませんでした。
またその頃、日本では明治維新が起き、欧米文化が一気に伝来。写真技術と共に心霊写真ブームが流入しました。当初、日本では心霊写真を「幽霊写真」等と呼んだそうです。その後、カメラの一般家庭への普及と共に心霊写真の報告も大幅に増加。昭和の高度経済成長期には心霊ブームが巻き起こり、心霊写真は誰もが知るオカルトとなりました。
本物の心霊写真、偽物の心霊写真
心霊写真の歴史は捏造の歴史と言っても過言ではありません。フィルムカメラが主流の時代には撮影ミスにより膨大な数の心霊写真が報告され、それらは面白半分に「本物の霊が写っている」と言われ、取り上げられてきました。例えば、撮影時にカメラの内部に光が入り込み、その結果としてあり得ないものが写り込む現象は非常にポピュラーなものです。また、フラッシュを発光した際にストロボの光が空気中の水分や塵に反射し、それが霊的エネルギー体(オーブ)として扱われることも多々あります。また、人間の心理のひとつにシミュラクラ現象というものがあり、これは三つの点が集まったものを人の顔として認識してしまうというもので、「ここに霊がいる」とされる多くの心霊写真はこの心理で説明付けることが出来ます。
さらに、心霊写真を意図的に作る方法も多数存在します。心霊写真作成の方法はデジタルの画像加工技術が普及する以前からオカルト好事家達の間で浸透しており、そういった人達によって遊び半分で作られた心霊写真も少なくありません。心霊写真の九割は捏造と言うことができるでしょう。しかし、そういった理屈だけではどうしても説明できない写真が存在するのも事実です。その一部の不可解な写真は本物の心霊写真かも知れません。本物の心霊写真は理屈による消去法で浮かび上がってくるものであると言えるでしょう。
デジカメの普及により心霊写真は減ったのか?
「デジタルカメラの普及により心霊写真は減った」という話はたびたび言われますが、これは誤解です。むしろ心霊写真は増えています。正確には「偽物の心霊写真が減り、本物の比率が増えた」と言うことができます。デジタルカメラの普及により心霊写真の報告は大幅に減りました。デジタルカメラは露光やピントを自動で調整し、撮影ミスを減らしてくれ、またデータをプリントアウトすることで現像時のミスも少なくなりました。写真撮影は一段と身近なものとなり、今では携帯電話のカメラ機能で誰もが気軽に写真を撮影するようになりました。また画像の加工も容易となり、心霊写真を捏造する意味は少なくなりました。
今も「写真に不可解なものが写り込んだ」という話が定期的に報告されています。撮影ミスによる偽物の心霊写真が減ったにもかかわらず、不可解な写真の報告自体は絶えない、つまりこれは本物の心霊写真が増えたということになります。「不動産屋が物件を紹介するために、撮影した写真の押し入れの隙間を補正機能で明るくしてみたら、いるはずのない女が写り込んでいた」という話、「凄惨な事件の報道写真に不可解な顔が写り込んでいた」という話などは、紛れもない本物の心霊写真の報告例と言えるかもしれません。
高機能のデジタルカメラを誰もが気軽に使うようになり、撮影画像を目にする機会が増えるようになった昨今、本物の心霊写真は間違いなく増えている、と言うことができるでしょう。