虫の知らせ
虫の知らせとは
離れた場所で起きていることを感じ取ったり、離れた場所にいる人からのメッセージを受け取ったりという不思議な現象が起きることがあります。その中でも、多くの場合良くないことに結びつく「悪い予感」的なものを「虫の知らせ」ということがあります。
本来、目に見えたり耳に聞こえたり肌に感じたりすることのないはずの事柄を感じ取ることを「虫の知らせ」といいます。第六感と同じ意味に捉えることもありますが、第六感は良くも悪くもすべての五感以外の感覚をいいますが、虫の知らせの場合は一般的に悪いことを感じ取る時に使われることが多いようです。
虫の知らせが知らせてくれること
虫の知らせは、身近な人に起こる不幸を知らせてくれることが多く、例えば、離れて暮らす家族やペットなどの死や危機などを感じ取ることができます。予言や予感とも似ている部分がありますが、その知らせる内容が悪い内容であることが多いという特徴があります。
虫の知らせの現れ方
虫の知らせは、離れたところで誰かに起こっていることが、そのまま白昼夢や夢、またはよく似たシチュエーションの現実体験などとして現れることもあれば、感じている虫の知らせと現実に起こっていることが全く違った現象であるにも関わらず、心の中で不思議につながる場合もあります。前者ははっきりと「虫の知らせ」が起きたことを説明することができますが、後者の場合は、自分自身も説明をつけることができません。前者なら、祖父とよく似た人が歩道橋を渡っていったが、途中で姿が見えなくなったという現実を虫の知らせで受け、実は同じ頃に離れた場所で祖父が歩道橋から落ちてケガをしたといった例の報告があります。後者なら、飾っていた写真が倒れたことで病床にあった家族の死を悟ったり、急に思い出して実家に電話をしたら、かわいがっていたペットが死んだところだと知らされたりといった虫の知らせ例があります。
良い虫の知らせもある?
虫の知らせの多くは悪いことに現れますが、時には良いことに結びつくこともあります。祖母が祖父の背中を撫でている夢を続けてみたと家族に告げたところ、祖父が最近背中に痛みを感じていたと打ち明けて病院で検査を受けて早期のガンが見つかったという報告では、虫の知らせはガンの発見であり悪いことですが、早期発見に結びついたことで、結果としては良い虫の知らせとなっています。また、試験前日に、試験会場へ向かうバスが事故にあって試験に間に合わないという夢を見たために、当日バス利用を避けた受験生が、後になって乗るはずのバスが事故にあったと聞いたという例もあります。これも事故という悪い虫の知らせではありますが、本人にとっては良い結果に結びついています。
虫の知らせの語源
虫のしらせは、人の体内に住み着いている「虫」が、本人が気づくことのできない悪い予感を感じ取って教えてくれるという意味を持っています。ここでいう「虫」とは、一説には道教における人が生まれながらに体内に持つ「虫」のことであり、常に宿主である人の行いを監視し、それを神に報告しているというもののことだといわれています。また、この道教における虫を体内に寄生する虫である「寄生虫」と混同して、気になることがあったり、神経質になっている時に、この寄生虫がいつもと違った動きをするために、「虫が何かを知らせている」と表現したという説もあります。
科学的に見た虫の知らせ
虫のしらせを科学的に定義しようとする動きもあります。その研究によると、人の脳は大量の情報を得て、そこからさまざまな推測を行っているといます。ただ、その情報量はあまりに多く、言葉にもイメージにも再現できないもの、本人が意識していないものも多数含んでいます。そのため、虫の知らせは、脳が無意識に集めた無意識の情報によって処理された結果生まれた「推測」だとされています。
虫の知らせは、たとえそれが悪いことではあっても、本人にとって大切なことを知らせてくれるものです。そのため、虫の知らせに敏感になることで、より多くの大切な情報を感じ取ることができ、その結果、より大きな不幸を防ぐことができる可能性もあります。いつもと違った感覚を「なんでもないだろう」と忘れ去ってしまうか、「何かの虫の知らせかもしれない」と心にとめて考えてみるか、それが運命の分かれ道になるかもしれません。