道祖神
道祖神とは
道祖神とは、「どうそじん」あるいは「どうそしん」と読み、道端に祀られている神様として知られています。基本的に人の往来の多い場所、つまりは集落と街道の境界上や村の中心地、道と道の交わる十字路や三叉路などの地点で見ることが出来ます。それらは主に石碑や石像であり、行き交う人々の旅の安全を守る神様として信仰されています。もっとも、昔は交通安全のみならず、村の守り神として、また男女の良縁成就や子孫繁栄の神様としての信仰も見られたとされています。さらには、あの世への入り口に置かれた神様であるとの説もあります。禍や悪霊を防ぐ神様であるため、死者がよみがえって来るのを防ごうとしたのかもしれません。
なお、道祖神はどちらかの宗教(宗派)に属していて、特定の人から信仰されているものではありません。一説には道教由来とされていますが確たる根拠はなく、神道や仏教などから様々な要素が入り込み、出来たものだとされています。いわゆる民間信仰の石仏であり、広く民衆から信仰を集めていました。
道祖神の本来の効果
今でこそ旅行の安全祈願の神様としての説が一般的ですが、本来は村への厄災(トラブル)の進入防止、そして子孫繁栄を祈念するための守り神だったとされています。それは、道祖神が祀られている場所、そしてその形状からそういった祈念物だったと考えられています。
基本的に道祖神は、集落の境やその中心に祀られています。厄災が集落に入ってくることを防いでもらうためであり、中心から集落全体に力を及ぼすためであります。また道祖神には、決まった形状はありません。単なる石碑の道祖神もあれば、人型の道祖神もあることからそう言われています。ですがそのうち、子孫繁栄の祈念がされたと言われているのは、いわゆる男神と女神とがかたどられ、その男女が手を取り合ったり抱き合ったり、はたまた接吻をしていたりといった形状から考えられている説になります。
道祖神の形状について
基本的に、道祖神の材質は石で作られています。自然石をそのまま神様に見立てたケースもあれば、加工されたケースもあり、決まった形状はありません。文字が彫られただけの板碑の道祖神もあれば、上述の男女神が彫られた道祖神もあり、また子孫繁栄ではよくある男根の形になった道祖神などもあり、実に個性的とも言える形状が見られます。
道祖神の分布について
道祖神は人の行くところ、つまりは全国各地にその分布が見られます。ですが中でも群馬県、そして長野県でその数は突出しています。特に長野県の安曇野エリアは、道祖神が多いことで知られています。実にその数は400体を越えるとまで言われており、市区町村単位での数が日本最多になっています。同じ長野県の松本市なども、370体以上の道祖神が確認されており、その数は全国的に見て群を抜いています。逆に道祖神が少ない地域としては、出雲大社などがお馴染みの島根県だと言われていますが、その詳細な理由ははっきりとしていません。