巡礼

巡礼のイメージ

聖地や霊地、あるいは聖域といった場所に赴く行為や、ルートとして成立しているそれらを複数個所巡り、祈りを捧げる宗教的な行為を巡礼と呼びます。

昨今では宗教的なイメージから離れて、例えばアニメや漫画などのエンターテイメント作品に登場した場所へ行き、記念として写真などに収める意味での聖地巡礼といった観光的側面も見られ、非日常の空間へと赴く行為全般に対して、巡礼という言葉が幅広く使われていることもあります。

ですがこちらでは、本来の意味に立ち返って、宗教的な側面での巡礼について解説していきましょう。なお、現在は巡礼と表記するのが一般的ですが、古い書籍などでは順礼の表記も多く見られます。

ユダヤ教の巡礼

エルサレムにあったとされるソロモン神殿、そこはユダヤ教徒にとって最も重要な巡礼地とされていました。心身共に巡礼可能な成人男性は、必ずそこへ赴き、供物を捧げる必要があったとされています。現在は破壊されて、いわゆる嘆きの壁と呼ばれるもののところが、ユダヤ教徒の最重要巡礼地となっています。

キリスト教の巡礼

キリストの生地であるベツレヘム、受難の地であるエルサレムなどの遺構への巡礼が挙げられます。ヨーロッパ各地には、聖人認定された人たちの聖遺物、ノアの箱舟の跡などを祭った教会や大聖堂が多く、それらが巡礼の対象となっています。なお、キリスト教においては、聖地へ行くことだけではなく、そこへ到る旅の過程についても重要視されています。朝に夕に神とのつながりを感じることで、より信仰の度合いが増すと考えられています。巡礼路としては、世界遺産にも指定されており、フランス各地からピレネー山脈を経由してスペイン北部を通るサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が有名でしょう。

仏教の巡礼

仏教の開祖である釈迦が生まれた城はすでに廃城となっていますが、生誕地であるルンビニ、悟りを開いた地であるブッダガヤ、人々への説法を開始した地であるサールナート、そして入滅の地であるクシナガラは、仏教における四大聖地として多くの巡礼者を集めています。また、チベットのカイラス山も聖地とされ、12年に一度の神々が集う年は多くの巡礼者が集まります。

日本国内の巡礼について

日本国内にも、お伊勢参りや熊野詣で、三十三ヶ所の観音菩薩巡礼や、お遍路さんと呼ばれる四国八十八ヶ所の弘法大師巡礼の霊場などが存在しています。巡礼対象はお寺や神社に限らず、例えば富士山(富士登山)もまた対象となり、人々の巡礼を集めています。昨今のスピリチュアルブーム、パワースポットブームなどもあいまって、寺社に足を運ぶ人は増加しているとも言われています。

四国八十八ヶ所霊場の巡礼などは、白装束を着てお寺を巡ります。これは単に非日常に触れて気分転換を行うものではなく、巡礼を行うことにより生まれ変わるための死装束としての意味も持っているとされます。険しい遍路路を行く際、路傍にお地蔵様の石仏を見ることがあります。これはまさに、その場所で息絶えた巡礼者のことを、地域の人たちが埋葬して供養した証であるとも言われています。