使い魔
魔法使いと主従関係にある生き物
使い魔とは、魔法使いが、魔法の力によって使役する生き物のことです。魔法使いによっては、召喚した魔物や悪魔、精霊を従えている場合もありますが、ここでは動物の使い魔について解説いたします。
使い魔は、主に敵情を偵察するときや戦闘の際に遣わされますが、伝言や届け物をするときなどにも活躍しました。また、魔法使いたちは使い魔の体毛や鱗など、その身体の一部を触媒にして秘薬を生み出したとも伝えられています。中世ヨーロッパで魔法使いの弾圧が始まると、使い魔も強い魔力を持った存在として恐れられ、大量虐殺されてしまったという痛ましい記録も残っています。当時の人々は使い魔を「小悪魔」と呼び、低級な悪魔が変化した姿だと信じていたのです。
代表的な動物の使い魔たち
猫
使い魔として最も人気が高い動物です。猫には霊的な力が宿っていて、魔力が強いと言われています。その中でもとりわけ黒猫は、暗闇に紛れ他人の目に触れることなく任務を行うことができるので、魔法使いから好まれました。お使いをしたり、主人を助けたり、夜道を案内するなど、魔法使いの良きパートナーとして活躍しました。
フクロウ
空を自由自在に飛ぶことができるフクロウは、秘密の手紙を届けてもらうのにもってこいの使者でした。また、戦闘力が高いことも魅力の一つ。フクロウは聴覚が発達しているので、音だけで獲物の位置を特定することができます。そして、大きな翼を使って一気に獲物に近づき、鋭く力強い爪を獲物の背中に突き立て、仕留めるのです。
犬
何でも言うことを聞き、常に主人と行動をともにする、忠実な使い魔です。通常、犬の使い魔が人間を攻撃することはありませんが、闇の魔法使いに使役された犬は人を襲うこともありました。その強靭な筋肉で身体を押さえつけられ、強い牙で噛みつかれたら、ひとたまりもないでしょう。
ヒキガエル
意外にも、魔力が強いと魔法使いから好まれていたのがヒキガエルです。ヒキガエルは、刺激を受けると耳の後ろから強力な毒液を分泌します。この毒は、目に入ると失明を引き起こしたり、誤って体内に摂取してしまった場合、最悪、死に至るほどの猛毒です。黒魔術では、そうした殺傷能力の高さを秘めたヒキガエルに、さらに邪悪な魔法をかけ、呪いたい人物に送り付けたといいます。
このほかにも、コウモリやオオカミ等の動物だけではなく、蛇やトカゲなどの爬虫類、ハエやバッタを使い魔にする魔法使いもいました。人間に魔法を使える人がいるように、動物にも魔法を使える個体がいても不思議ではないのです。