臨死体験

人は死に直面した時、“あの世”を見る!?

臨死体験のイメージ

病気や事故などで状態が悪化し、だんだんと意識が働かなくなる時、人は「あの世」に足を踏み入れることがあります。この体験のことを、「臨死体験」と呼びます。

テレビや小説、ドラマなどで、「身体が宙に浮いていて、下を見ると自分が眠っていた」「三途の川の向こう岸に、昔亡くなった友人や家族がいて、『あなたはまだ早い』『ここへ来てはいけない』と追い返され、気が付いたらベッドの上だった」という話、聞いたことはありませんか? 日本に限らず、世界中の至るところで同様の現象が報告されており、死に直面した人が死後の世界を見ることは、決して珍しいことではありません。

死後の世界は、科学的にも研究されている

スピリチュアルな傾向が強い臨死体験ですが、実は科学的にも研究されています。研究しようと思うきっかけは、自身が死後の世界を見た経験からだったり、他の科学者の研究を読んで興味を持ったからなど、人により様々です。それだけ死後の世界は、科学者の知的好奇心をもくすぐるものということなのでしょう。

アメリカ合衆国にあるコネティカット大学の元心理学教授、ケネス・リング(1936~)もそのうちの一人。彼は、1977年5月から13ヶ月間をかけて、102人もの臨死体験者と会い、話を聞きました。彼らの体験を聞くと、見たものや聞いたものなどに個人差はあるけれど、体験には一定の傾向が見られることがわかったのです。

ケネス・リングは、彼らの話をもとに、臨死体験を10個の基本的パターンにまとめました。例えば、「安らぎに満ちた心地よさを感じる」「体外離脱する」「暗闇(トンネル)に入る」「走馬灯のように人生を振り返る」「亡くなった親族、知人と出会う」「神など、何らかの超越的な存在に出会う」などが傾向として挙げられています。

また、臨死体験をした人は、他人への同情心が深まったり、環境問題や生態系への関心が強まるなどの兆候が見られるといいます。死に直面するまでは暴力的だった人物が、臨死体験を境に献身的な性格に変わるという例もあるほどです。“死”という非日常を体験し、自身の命の大切さに気付くからこそ、一日一日を大切に生きようと心を改めるのかもしれません。人生観や人格をも変えてしまうかもしれない「死後の世界」。あなたは見てみたいと思いますか?