不浄霊

成仏したくてもできないジレンマを抱えた霊

不浄霊のイメージ

やりきれない思いを抱えたまま亡くなり、成仏できずに現世にとどまり続ける霊を「不浄霊」と言います。通常、人間はその生命活動を停止すると、肉体から“霊魂”が切り離されます。たとえ肉体は滅びても、霊魂は永久不滅の存在。成仏することで、私たちは姿形を変えて来世に生まれ変わることができるのです。

しかし不浄霊の場合、いくら「成仏したい」と思っても、「もっと生きたかった」という後悔や、恨み辛みの念によって現世に縛り付けられます。これは、霊にとって大変苦しいことです。そのため、不浄霊たちは私たちに向かって「助けてほしい」「成仏させてほしい」というメッセージを送ります。それが、霊障やたたりという形になって、私たちに届くのです。

最も成仏しにくいのは「自殺した霊」

土地や建物、住居など、亡くなった場所に居ついて霊障を起こす地縛霊や、さみしい思いを抱えながら、あちこちをさまよい助けを求める浮遊霊など、不浄霊には様々なタイプがあります。

不浄霊の中でも、最も成仏できにくいと言われるのが、「自殺霊」です。現世に絶望し、苦しみから逃れたいと思って自ら命を絶ったにもかかわらず、死んだ先にも苦悩が待ち受けています。自殺した魂は、抱えきれないほどの後悔の念をもって霊界にたどり着きます。「もっとやりたいことがあった」「家族に悲しい思いをさせてしまった」など、その思いはずしりと重たくのしかかり、上に上がれず、成仏もできません。そして、悲嘆に暮れながら、霊界の底の底をさまよい続けるので、最も成仏が遅くなるのです。現世では辛いことがあっても、気を紛らわすための娯楽や、支えてくれる人たちがいます。しかし、霊界にはそういったものが一切なく、たった一人で苦悩と向き合うほかありません。そのため、霊界の苦しみは現世よりもはるかに辛いものだと言えるでしょう。

また、「自殺は遺伝する」と言われますが、自殺する家系には、必ず自殺した不浄霊が存在しています。不浄霊が新たな仲間を呼ぼうと誘うので、自殺者が出やすくなってしまうのです。

不浄霊から身を守るには

不浄霊や霊障から身を守る方法はただ一つ、「供養する心」です。立派なお墓も、豪華な仏壇も必要ありません。お盆やお彼岸だけでもいいので、ご先祖様のお墓参りをしたり、仏壇にお供え物をするなど、亡くなった人のことを想い、一緒に生きているという感覚を大切にしてください。そうすれば、ご先祖様や守護霊が不浄霊から護ってくださるでしょう。そうした霊に対する敬意の心は、不浄霊たちの魂を救う可能性もあるのです。

とはいえ、どんなに気を付けていても、不浄霊は波長が合う人を見つけて、その人が油断した瞬間に取り憑くことがあります。万が一霊障やたたりに遭ってしまった場合には、早急に霊能者などの専門家に相談することをおすすめします。