水晶

アメジストもシトリンも、実は水晶の仲間

水晶のイメージ

無色透明で、神秘的な輝きを放つ水晶。石英(せきえい)という鉱物の中で、特に無色透明なもののことを「水晶」、英語では「クリスタル」と呼びます。実は、アメジスト、シトリン、ローズクォーツなども水晶の仲間。水晶は結晶構造のズレや含まれる鉱物によって、紫や黄色、ピンク色など、様々な色に変化するのです。世界で水晶が採掘できる場として有名なのは、「ヒマラヤ水晶」で有名なインドや、ブラジルの南東部にあるミナスジェライス州。日本では山梨県が主要な産地として知られています。

なぜ水晶には神聖な力が宿るのか

古代より、水晶は「神によって作られた溶けない氷」だと考えられ、装飾品として加工されたり、祈祷や儀式等の神聖な場で使われるなど、人々に親しまれてきました。

水晶に特殊なパワーが秘められていると信じられているのは、きちんと理由があります。水晶は地球の奥深く、地殻から産出されるものです。およそ46億年という長い年月をかけて変化してきた地球とともに、水晶も絶えず成長し、結晶を形成してきました。水晶には、地球とともに歩んできた記憶と、地球の持つ壮大なパワーが凝縮されていると言っても過言ではありません。こうした背景や、透明度が高く、まるで氷のような美しさをたたえたその見た目も相まって、水晶には特殊なパワーが宿ると信じられているのです。

日本書紀と水晶

日本最古の水晶球は、『日本書紀』に登場します。

「神功皇后が関門海峡長門豊浦の津に泊まり海中より如意珠(こころままのたま)を得らると見ゆるも是なり」

193年、第14代天皇后である神功(じんぐう)天皇は、大和朝廷に抵抗する熊襲(くまそ)国を征伐するため、夫である仲哀天皇について九州の筑紫を訪れました。その時に、関門海峡の海中で如意珠(水晶)を拾ったのです。もともと占術や霊力に長けていた神功天皇は、神通力を使う時にこの如意珠を使ったと伝えられています。この如意珠を手に入れてから、戦は連戦連勝。結果的に、神功天皇は三韓征伐を成し遂げ、朝鮮半島を服属させるという大業を成し遂げたのでした。珠の中にある傷が剣の形に見えることから、「剣珠(けんじゅ)」と言われるこの水晶は、現在も兵庫県西宮市にある廣田神社に奉納されています。

パワーストーンとしての水晶

古代より占いや神通力の道具として扱われてきた水晶ですが、現代において最も身近な用途はパワーストーンではないでしょうか。水晶には、主に「開運」「浄化」「魔除け」「心願成就」といった効果があります。持ち主のエネルギーを整え、人間的な成長や霊格を高めたり、不調の原因や運気低下の要因も浄化してくれる心強い味方です。水晶の力を得るために、クラスター(原石)や水晶球のタイプは、手に握ったり、身体のどこかにのせて瞑想を行います。ブレスレットタイプは、アクセサリー感覚で気軽に身に着けられるので、初心者の方にもおすすめ。いずれにせよ、常に自分の近くに置き、水晶のオーラを感じられるようにしましょう。

水晶自体に浄化作用はありますが、石は悪い気を吸収し続けます。効果を持続させるためにも、定期的にメンテナンスすることが重要です。水晶は水や塩分、日光にも強く、他のパワーストーンに比べ、浄化も簡単。お手入れは、次のように行います。

  • お湯に漬けて、ブラシなどで石の表面や割れ目の中の異物を取り除く
  • 次に、お湯の中に塩を入れ、その中に10分間漬ける
  • 乾いたら、1時間程度 日光に当てる

こうすることで、水晶についたネガティブなエネルギーが除去され、高い効果を発揮し続けられるようになります。もしパワーストーン専門店などで水晶を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。ひんやりと心地のいい手の感触から、きっと目に見えない神秘的な力を感じられることでしょう。