堕天使

堕天使とは

堕天使のイメージ

主にキリスト教、ユダヤ教に存在する概念で、天界から追放された元天使のことを指します。神を超える存在になろうという傲慢な心、神に大切にされる人間への嫉妬心が原因で追放された者もいれば、自分の意志で堕ちていった者もいます。天界から地上へ堕ちた堕天使は、人間を神から遠ざける邪悪な存在、悪魔となったのです。

7人の堕天使

ヨハネの黙示録では、全天使の3分の1が堕天使になったとされており、その数は3万にも及ぶと言われています。その中から名の知れた7人の堕天使を紹介します。

ルシファー

ラテン語で、「光を表す者」という意味のルシファー。最も有名な堕天使であり、堕天使団の長です。そして、ルシファーこそが有名な魔王サタン(悪魔)だと言われています。また、大天使ミカエルの双子の兄であるという説もあります。

元々は、天使の中で最も美しく、優れた知恵を持つ大天使だったルシファー。神に次ぐ能力を持ち、すべての天使を束ねるほどの地位と権力を与えられていました。しかし、それ故に神をも超える存在になれると傲慢になり、自身を慕う天使と共に反逆を起こしたのです。しかし、偉大な神を前に当然ながら敗北し、引き連れた天使ともども地上へ堕ちたのでした。ルシファーの反逆の始まりは、初の人類だとされるアダムとイヴに対するもの。リンゴを食べるようイヴをそそのかしたことで有名なヘビは、ルシファーだと言われています。

べリアル

ルシファーに引けをとらない美しさを誇るべリアル。べリアルは人間に知識をもたらすために地上へ舞い降りたにも関わらず、人間の女性や男性、動物とまで性的な関係を持ちました。大天使ミカエルよりも上の地位を与えられていたにも関わらず、淫らで不埒な行いによって堕天使になったのです。

非常に弁が立ち、穏やかな口調で人間の心を惑わせて楽しむ狡猾なべリアル。無実の罪で神を天界の裁判にかけたこともある、切れ者の策士です。

アザゼル

人間を監視する役目である「グリゴリ(見張りの天使)」のリーダーでした。しかし、自分も含めたグリゴリ全員が人間の女性に恋をし、妻にしてしまったのです。その責任を負って、堕天使になったとされています。地上に堕ちたアザゼルは、武器、装飾品、化粧品、天文学、薬学など、あらゆる天界の知識を人間へ授けました。その結果、男は戦い好きになり、女は淫らになってしまったとも言われています。しかし、アザゼルによってもたらされた知識は人類の生活を豊かにしたとも評価されています。

また、人間の女性との間にもうけた子供が巨人となって人類の食料を食べつくしてしまい、それを知った神が洪水を起こして地上をリセットしたとされています。

シェムハザ

人間の住む世界を監視する役目だった「グリゴリ」の1人。アザゼルと同様の罪で堕天使となり、巨人の子供を持ちました。

イブリース

アダムとイヴに仕えるよう命じられたものの、「土から創ったものにひれ伏すことなどできない」と反発したことで堕天使になったと言われています。しかし、神以外にひれ伏すことはできないという忠誠心の強い天使であったという見方もされています。

グザファン

創意工夫の天使であったとされるグサファン。ルシファーが反逆を起こした際に、天界を火の海にする作戦を練りました。しかし、実行に移す前に神に情報が洩れ、罰として地獄の窯の炎を吹き続ける悪魔となりました。

ベルゼブブ

嵐と慈雨の天使であったベルゼブブは、天使ルシファーの右腕であったと言われています。ルシファーが神に反逆した際に加担したため、堕天使となりました。ベルゼブブは「ハエの王」という意味があり、七つの大罪では暴食を代表する悪魔です。害虫を支配し、性欲を過剰にし、争いを誘発するとされています。地獄ではサタンに次いで強大な力を持つ存在です。

海外では現在も悪魔祓いが行われていますが、人間にとりついている悪魔は実際に聖書に載っている、これらの有名な悪魔です。昔話でもおとぎ話でもなく、現在進行形で人間をまどわす堕天使達。悪魔の囁きが聞こえたら、強い意志で振り払わないと大変なことになるでしょう。