三位一体
神をなす3つの位格
「三位一体」とは、キリスト教の中心にある教理のことです。キリスト教では、神とは、「父なる神」「子なるキリスト」「聖霊」という3つの位格(ペルソナ)を持つ「唯一の神」であると定めています。まず、それぞれの位格について説明します。
「父なる神」
神の第一位格。父なる神は全知全能で、この世のすべての始まりです。無限の力と知恵、いつくしみの心を持ち、その御業によってこの世界をつくられました。私たち人間の命は有限ですが、神は永遠に存在します。そんな私たち人間の理性では、父なる神のすべてを解明することはできません。神秘的かつ崇高で、讃えられる存在です。
「子なるキリスト」
イエス・キリストのことで、人類を救済するために、神のご意思によりこの世に遣わされました。キリストは、“真の神”であり“真の人”です。つまり、神の性質と人の性質を併せ持った存在なのです。キリストは人々の罪を贖える神秘的な存在である一方、人間の代表としてその死をもって罰を受けなくてはなりません。それが十字架による死です。キリストが死から復活したのは、人々の罪に勝利したことを表します。
「聖霊」
人々をすべての真理へと導く存在です。父なる神の意思によりこの世に遣わされました。キリストを処女マリアの母体に宿すという奇跡を起こしたのも、聖霊の御業です。キリストの教えやその御業、十字架の死、そして復活がなにを意味するのか、人々に体験的に知らせることが主な役割です。目に見ることはできませんが、神の存在を信じたその瞬間に、私たちの内側には聖霊が宿るとされています。
「神とは理性では理解できないもの」という教え
以上のように、「父」「子」「聖霊」、3つの位格はそれぞれ異なる性質を持ちます。3つの独立した位格が唯一の神であるとは、「3=1」となり、普通の考え方では理解できません。つまり三位一体の教理は、「神が人の理性では理解できないものである」「神が神秘的な存在である」ことを意味します。
人間を罪から救い、全世界の完成を目指すために、神の意思により、神には3つの位格があるという啓示が与えられたのです。神は、人々を罪から救うため、御子(キリスト)を遣わせました。そして、御子の十字架の死と復活により、人々の救いは成就します。さらに、聖霊の働きかけにより人々が信仰心を持ち、罪を悔い改めることで救いが届けられます。まさに、この三位一体の教理そのものが、人々が救われることに直結するのです。