ワルプルギスの夜

伝統的な魔女の集会

ワルプルギスの夜のイメージ

ワルプルギスの夜(ヴァルプルギスの夜)とは、4月30日に行われる、ドイツの伝統的な魔女の集会のことです。古代ケルトにおいては、毎年5月1日に「ヴァルティナ」という春の祭りが開催されました。ワルプルギスの夜は、その前夜祭の意味合いを持ちます。中世では、年に一度ドイツ中の魔女たちがハルツ地方にあるブロッケン山に集まって饗宴を開き、新しい春の訪れを祝ったと言います。この伝統行事は、ゲーテの戯曲『ファウスト』でも登場し、有名になりました。

「ワルプルギス」は一般的には聖女の名前だったと考えられていますが、おそらくそれよりも古い、ドイツの女神の名前が起源ではないかとも言われています。

ブロッケン山とは

ブロッケン山は、ドイツの魔女にとって伝統的な集会をする場所でした。魔女が住んでいたとも言われており、ハルツ地方の各地には今でも様々な魔女伝説が残っています。標高はおよそ1,141メートルですが、偏西風の影響を受けやすい場所にあるため高山の気候に近いと言われています。また、厚い霧に自分の影が映り、まるで化け物のように見える「ブロッケンの現象(ブロッケンの妖怪)」という現象でも有名です。

現代におけるワルプルギスの夜

ワルプルギスの夜は、中世のヨーロッパでは魔女たちによる集会でしたが、現代においては中欧・北欧などで広く行われるお祭りとして知られています。発祥とされるドイツのハイツ地方では、人々が魔女や悪魔の姿に仮装し、町中を練り歩いたり、屋台などの料理やお酒を楽しみます。そして、町から蒸気機関車でワルプルギスの夜の舞台であるブロッケン山に向かい、夜になると、魔女たちが歌い踊りながら燃え盛るかがり火を囲み、クライマックスを迎えるのです。

「魔女」というと恐ろしいイメージを抱く人も多いかもしれませんが、春の訪れは誰にとってもうれしいもの。だからこそ、現代にまで続く伝統的な行事になっているのだと言えるでしょう。