エクトプラズム

エクトプラズムのイメージ

エクトプラズム(ectoplasm)とは霊の物質化現象を引き起こす謎の物質のことです。この物質の名付け親はフランスのノーベル賞生理学者であるリシェ(1850~1935)で、ギリシア語のecto(外部の)とplasm(実体物)を組み合わせて創り出した造語です。日本では幽物質とも訳されます。別名としては、テレプラズム、イデオプラズム、サイコプラズムなどの名でも呼ばれます。

霊媒が降霊を行った際、口、鼻孔、耳孔、全身の毛穴などから白い霧のようなエクトプラズムが湧出し、やがて呼び出された霊体の姿となって視覚化します。これは19世紀末の英国で盛んに行われた交霊会においてもしばしば見られた現象でした。ときには写真撮影もされ、エクトプラズムによって物質化した霊と参会者が手を握っている写真なども残されています。

エクトプラズムの第一の特徴は白く発光することで、その形状は霧状、紐状、布状、粘液状など様々に変化します。エクトプラズムの出現時には室温が低下するという現象も伴うことが多いようです。また、その成分を調べたところ、白血球や唾液、脂肪、上皮細胞など人体を構成する物質に近いもので構成されていることが分かりました。

エクトプラズムは光を嫌い、暗い場所でのみ見ることができます。また霊媒の体内から流出していると思われる物質であるため、その出現中に強い光を当てたり、一部を切り取ったり、物質化した霊の許可なく手で触れたりすると霊媒自身が非常に苦しみます。現にヘレン・ダンカンという霊媒は、エクトプラズム流出の最中に強い刺激を与えられ、それが原因でショック死しました。

霊能力という観点からエクトプラズムを考察すると、それは霊の物質化現象という範疇に入ります。これはあくまで推測ですが、一般人の幽霊目撃談の一部もこのエクトプラズム現象が関係しているのではないでしょうか。ただ、現存している霊能者や霊媒がこの現象を引き起こしたという例はほとんど報告されていません。