前世と転生

前世と転生のイメージ

全ての人間は前世(過去世)を有し、死後に霊魂霊界で一定の期間を経た後に再びこの世に生まれてくる──これが前世と転生の考え方です。死んだ者の魂が何度も地上に生まれ変わってくるという輪廻転生の思想は、古代エジプトや古代ギリシャの宗教を初め、ヒンドゥー教や仏教などに散見することができます。

また現代においても前世の記憶を持つ人々に関する報告は多く、とくに退行催眠によって誕生以前まで人間の記憶を遡らせると、前世での生活記憶が甦ることがあると言われています。こうした事象は退行催眠の技術が確立された当初から見られていたものでしたが、に出版された『前世治療』という本によって広く世に知られるようになりました。この本の著者であるアメリカの精神科医ブライアン・L・ワイス博士(~)は、退行催眠による治療中に偶然、患者が前世の記憶を甦らせたことを発見し、多くの事例を報告しています。

ワイス博士の著書がベストセラーになって以降、アメリカだけではなく日本においても、退行催眠やヒプノセラピー(催眠治療)により、相談者の前世を明らかにして心的外傷を癒やしたり、現世での生きる目的を明らかにしたりいるというセラピーサロンが流行しており、その意志があれば誰でも自分の前世についての記憶情報を得られるようになりました。

前世と転生の問題については心霊研究家や霊能者の間でも色々と意見の分かれるところです。つまり、全ての人間には前世があり、何度も転生してこの物質世界に生まれ直してくるとすれば、その転生する本体とは霊界にいる霊魂そのものなのか、それとも幽界に残存する様々な霊の記憶や思念のみが新たに誕生する子供の魂に付着してくるだけなのかという点が非常に曖昧で、この部分に関してはじつに様々な見解が存在します。

ちなみに筆者が信頼するある実力派の霊能者によれば、「人間の霊魂というものは霊界の上位次元にあっては複数の個体が集まった塊(クラスター)の群れとして存在しており、そのエネルギー体の一部分が分裂する形で再び物質の衣を纏ってこの世界へ誕生してくる。その際、幽界に残された同じクラスター内の誰かの生前の記憶と思念がまるで磁石のように霊魂の核の周囲にピタリと吸着する。これが過去世や前世の記憶の正体である」とのことでした。この霊能者の見解が果たして正しいのかどうかは現在のところは確かめる術がありませんが、考え方としては非常に興味深いものだと思います。