鎮魂帰神法
鎮魂帰神法とは、古神道における降霊法の一種。古代の朝廷で行われていたとされるこの秘法を江戸末期から明治期に活動した本田親徳(ほんだちかあつ・~)が本田式鎮魂帰神法として復興体系化したものが現在もなお、神道系宗教団体の一部に伝わっています。ただし帰神法の伝統はすでに断絶してしまい、実際に行われているのは鎮魂法のみです。
鎮魂帰神法の目的はただ霊を降ろすだけでなく、その霊の性質を見極めた上でもし邪霊・悪霊と判断されれば、直ちに改心させて善霊に変化させることにあります。憑依した霊が善き霊(神)に変化することで、霊を降ろされた人物自体の運勢と人格も向上するとされています。
本田式鎮魂帰神法のあらまし
鎮魂法
- 霊を降ろされる役の人物はあらかじめ禊ぎ祓いの儀を受けて心身を清浄にしておく。
- 審神者(さにわ)の役を負った者が霊を降ろされる人物の前に立つ。降ろされる側は瞑目正座して両手で鎮魂印を組む。
- 審神者の指示に従い意念を集中するうちに、憑霊を受ける人物は次第に手脚の感覚が麻痺していき、最後には宙に浮かんでいるような心持ちになっていく。
- 3の状態への変化を数回繰り返すうちに次第に霊魂が鎮まり、丹田に力が蓄えられる。
帰神法
- 憑霊を受ける側は手印を組んだまま瞑目正座を続ける。
- 審神者は「ヒト、フタ、ミー、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ココノ、タリ、モモ、ヨロズ」という神文を数回唱えた後、厳かに「ウーン」と唸りながら、人差し指で霊力を注ぎ込む。
- 憑霊を受ける側は霊力を注がれることにより、身体全体が霊動し始める。この霊動は憑依した霊(神)の動きとされる。この段階で憑依した霊(神)が憑依された人の口を通して様々な言葉を話し始めたり、ときには苦しげに呻いたり、暴れ出したりする。
- 審神者は降りてきた霊(神)に必要な質問を浴びせ、もしそれが邪霊・邪神の類であると判断された場合には、戒告、なだめすかし、叱咤、捕縛などを適宜に行って、霊(神)の改心を促す。もし、どうしても改心しない場合にはそのまま神界へ引き渡す。
この方法は出口なおと出口王仁三郎によって創設された大本教において多用され、その後、大本教から分離独立した多くの新宗教教団においても若干の変更を加えられながら伝承されています(鎮魂法のみ)。