地縛霊
地縛霊をひと言で語ると、特定の場所から離れられない霊のことになります。霊自身が持つ「離れたくない」気持ちが強いためその地に縛られていることもあれば、その地にこだわる理由を持たない、あるいはわからないまま縛られている霊もいます。いずれの場合も、必ずその場所と霊の間になんらかの関係性が存在しています
地縛霊が生み出される要因
地縛霊には大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつは特定の場所に特別な思い入れがあるため、自分の意思でそこを離れようとしない霊です。その場所とは、自分が苦労して築き上げた家や会社などの財産にかかわる場所であったり、良いも悪いも思い出がこびりついた場所である場合が多く、その場所と場所に付属する物や人を守ろうとしたり、またはそれらの物や人に対する恨みを晴らそうとします。この場合の地縛霊は、自分が死んで霊となっていることを自覚していることが多いのも特徴です。自分の意思で除霊されることを拒み、成仏することを望んでいないこともあります。
もうひとつは突然の死など、自分でも知らないうちにその場所に縛りつけられてしまった霊です。死んだ理由にかかわらず、本人が納得できていなかったり、死を認識できていなかったりする場合、死に至った場所に残る地縛霊となります。彼らは、自分がもう死んでいることはもちろん、そこに縛られている理由も分からず、何度も死の瞬間の苦しみを味わっていたり、助けが来るのを待っていたりします。この霊はこだわる理由が土地ではなく自分の感情であるために、“自縛霊”と呼ばれることもあります。
地縛霊がその場所から離れる方法
地縛霊のほとんどは、自分の意思ではその場所から離れることができません。移動ができないだけでなく、成仏することもできません。自分の意思でそこに留まっている霊は、強制的に除霊や浄霊を行わない限り、その地を離れることはありません。ただし、そこに留まる理由が解消されれば、移動したり成仏したりすることがあります。地縛霊となったのが自分の意思ではない場合にも、なんらかの現実社会からの働きかけやきっかけがない限り、その場を離れることはありません。たとえば、霊感の強い人が偶然近くを通りかかるとその人に取り憑くことで移動できることがありますが、様々な条件が揃って初めて起こりうるきわめて稀な例と言えます。
地縛霊と浮遊霊の違いは?
地縛霊と浮遊霊、どちらも成仏することができずにこの世に残ってさまよっている霊である点が似ています。その大きな違いとしては、地縛霊が基本的に一定の場所から動くことができないのに対し、浮遊霊はある程度自由に移動することができる点です。ただし、地縛霊であっても波長の合う人や物に取り憑くことで移動できることもあり、浮遊霊がほかの霊や人・物の霊力の影響を受けると行動が制限されることもあり、このふたつの霊は別のものとして定義しきれない部分を持っています。
周囲にどんな影響を与えるのか
地縛霊は、その土地に関わる人や物にさまざまな影響を及ぼします。特に自分の意思によって地縛霊となっている霊は、その意思に叶うことを助け、反することには霊障を起こして悪影響を与えます。土地や家屋に取り憑いた地縛霊にとって、土地の売買や家屋の改築は大問題です。意に沿わない場合には、その霊力によって怪奇現象を起こしたり、当該者へ憑依することによって阻止しようとすることがあります。霊障として知られていますが、こうなってしまうと専門家に頼る必要が出てきます。また、自殺者や事故死者などの地縛霊は、そこを通った人や物に自分と同じ苦しみを与えようとすることがあります。自殺や事故が多く発生する場所は、地縛霊による影響を受けて、死に誘い込まれることがあります。何度も交通事故が起こる交差点などは、その悪循環が起きている例であると言えます。心身の弱った人が近付けば霊に取り込まれてしまったり、霊力のある人が近づけば救済を求める霊が取り憑くこともあります。
除霊または浄化・浄霊するには?
地縛霊は、長く霊体として存在している間に強くこだわる思いが薄れて神霊化することもありますが、多くの地縛霊はその理由を見失ってもなお、思いの重さだけが残ってますます強い執着を持つ地縛霊となっていくことがあります。思いの強さは霊力の強さでもあり、力で押さえつけるのは難しく、必ずしも良い結果を生みません。また、怪奇現象の発生、自殺の多い現場、様々な霊障などもその原因が地縛霊だと分かり、さらにその霊が縛られている場所や理由が判明しなければ除霊できないことがあります。このように、地縛霊を除霊したり浄化したりするのは簡単ではありません。もう既に死んでいることや地縛霊であることを納得させることから始まり、その執着の元を辿って断ち切ることが必要であり、除霊や浄化はその後でなければ十分な効果をあげることができません。これらは、霊能者など専門家による、長期的で本格的な対処が必要となります。