百物語

百物語とは

百物語のイメージ

心霊スポットへ足を運ぶ肝試しと同じくらい、夏の夜の風物詩と言われる百物語。怪談話を100個語り終えると、本物の幽霊や妖怪がその場に現れるという言い伝えを持っています。その起源は不明とされていますが、肝試しや殿様の話し相手の際に誕生したおとぎ話の一種という説があります。それ以外では、武士の肝試しとして始まったとの説もあります。なぜなら武士たるもの、どのような恐ろしい出来事に遭遇しても毅然と立ち向かわなければならなかったため、百物語に参加して己の精神を鍛えた、というわけです。また百物語は、以下の3つの語り行事をひとつにまとめたものとも言われています。それはすなわち、

  • 「百鬼夜行」怪談を100話、語ること
  • 「巡物語」月夜にさまざまなエピソードを順番に語ること
  • 「百座法談」集まった人々で1日ひとつずつ物語を交代で語ること

百物語の怪談を集めた本も多く出版されました。それらは主に、室町時代から江戸時代にかけて流行ったとされており、21世紀になった今でも数々の作家が百物語として作品を発表しているほどです。百物語の有名な怪談には、「耳なし芳一」「四谷怪談」「番町皿屋敷」「ろくろ首」「牡丹灯籠」「雪女」などがあります。

百物語の方法

夜中に数人が集まって、不思議な話、怪談話を語り合えば、それはすなわち百物語とされます。江戸時代以降は、このような簡略化されたやり方が主流になっていましたが、本来は月のない新月の夜を選び、参加者は青い着物を逆合わせにして着て参加するのが決まりとしてありました。百物語を語る部屋には青い紙を巻いた行燈と、点火した100本のろうそくを準備し、参加者が1話終えるごとにろうそくの火を消しながら100話を参加者が順番に話す流れです。

百物語の怪現象

100話の物語が終わったあとには、その場に幽霊が現れたり、怪奇現象が起きたりすると言われています。ですが実際のところ、具体的に何が起こったのかは記録として残っていません。ちなみに、幽霊や怪奇現象が起こることを好まないときは、99話で物語を止めることもできるとされています。木原浩勝氏と中山市朗氏の著作「新・耳・袋~あなたの隣の怖い話~」は、現代の百物語として出版されました。この中に収録されている100の物語を読み終えると怪現象が起こるという読者からの報告が多数あり、99話にして再発行されたという逸話もあります。

百物語から生まれた文化

百物語というタイトルのつく書物は多く、さらには映画やゲームなどへと文化的な広がりも見せているのが特徴です。一例を挙げてみましょう。

絵画

葛飾北斎「お岩さん」「皿屋敷」など。

杉浦日向子「百物語」、京極夏彦「巷説百物語」、岩井志麻子「現代百物語」、桃花山人「絵本百物語」、木原浩勝・中山市朗「新・耳・袋~あなたの隣の怖い話~」など。

映画

「妖怪百物語」「恐怖百物語」など。

テレビ

「怪談百物語」など。

ゲーム

「古伝降霊術 百物語〜ほんとにあった怖い話〜」など。