審神者

審神者とは

審神者のイメージ

審神者と書いて、「さにわ」と読みます。古代の神道から来ている言葉で、「神託を受けて、神の言葉を伝える役割の人」のことを指しています。また神託を受けるための、清められた庭のことを指す場合もあります。この清められた庭を「沙庭」「清庭」「清場」と表記することから、さにわの読みが出来たと言われているのです。これらは降霊術を行う場所であり、清められた場所は、審神者が神の言葉を伝え、降霊された霊の性質などを見極める際に重要となります。ゆえに霊的な力を持つ者が、丹念に清めなければならないと言われています。

審神者の役割

霊を呼び寄せて会話をするという儀式は、以前から世界中で行われています。「こっくりさん」「イタコ口寄せ」「降霊術」「エンジェルさま」「ウィジャ盤」など、方法や呼び名は様々ですが目的は同じです。そのような降霊術を行ったとき、霊媒に降りてきた霊が本当に呼び出したい霊なのか、その真贋を測り、また霊が真実を述べているのかを判断するのが審神者の主な役割になっています。

審神者は、神主やイタコなどの霊媒師に降りた霊へ様々な質問を投げかけることで、発言に矛盾はないか、その人ではないと答えられない言葉を述べているか、信頼できるものなのかを見極める能力を持ちます。もしも、降霊したものが悪霊であり、成り済ましていた場合、審神者自身が霊を浄化して邪を祓うこともあります。

このように、審神者は単なる真贋の判定員といった立ち位置のみではなく、自身も非常に高い霊能力を持っているのです。ですから審神者レベル以下の霊能者が降霊術を行う際、審神者を置かないことは、実に危険だとされています。なぜなら悪霊、低級霊が安易に降りてきてしまうからです。低級霊が霊媒の体内に入った場合、その霊媒は高級霊を受け入れることができなくなり、低級霊に蝕まれていってしまう可能性すらあります。ゆえに、高級な霊を降ろすためにも審神者は必要なのです。

また、審神者の役割として、降霊をする前に周囲の騒音を阻止し、関係者が霊に対する疑いの心や目を持たないように説き伏せ、清められた場所を準備するという仕事があります。能力のある審神者は、霊媒や霊に対してあらゆる配慮を行える意識の高さがあり、それをすみやかに実行に起こす行動力もあるのです。

降霊する場所のお浄め、周囲への配慮、自身や霊媒者への信頼を周囲から得ることを完成させてから、審神者は霊媒に降りてきた霊の言葉を判断します。準備を怠らずに実行することで、求める霊や位の高い霊は安心して降臨し、言葉を告げることができるとされているのです。

審神者の歴史は実に古く、古神道における帰神法(神憑り・かみがかり)を行う場合には絶対に必要な存在であったと「古事記」に記されており、また「日本書紀」にも審神者の存在が記されています。霊能力だけでなく、審神者として低級霊の嘘を暴くなど、霊の真偽を確かめるために豊富な知識が必要とされています。審神者は、霊媒者よりも高い霊格があり、人格者であることが必須なのです。