前世と因縁
前世と因縁とは
前世の自分の人生が現世の今の自分の人生に影響を与えることがあります。これが前世の因縁、または前世の因果などと呼ばれるものです。前世の因縁は常に起こりうるものですが、それを認識できるかどうかには個人差があります。また、前世の因縁は繰り返されるため、現世の今の自分の行動はまた次の世の自分の人生へと因縁づいていきます。
人は何度も生まれ変わり、違う人格で違う人生を歩んでいるといいます。現世における自分から見て過去にあたる前世の自分は、自分そのものではありませんが、そこには何かしらのつながりが確実に存在しています。その一つが因縁です。前世は複数あり、その中には善い行いをした前世もあれば、悪い行いをした前世もあるでしょう。良い出会いがあって縁が結ばれることがあれば、すれ違ってしまうこともあります。因縁は、善悪区別なくそのすべてを生まれ変わるごとに引き継いでいきます。新しい生を受けた者があらたな人生を送る中で新しい因縁を加えていき、中にはいくつかの因縁を断ち切ることもあります。そうして、因縁は時の流れの中で変化することはありますが、完全に消滅することはなく、永遠に引き継がれていくものです。
現れやすい前世の因縁
さまざまな前世の因縁が現世に影響を与えますが、その中でも現れやすいものがあります。代表的なものとして最初にあげられるのが悪の因縁です。前世で殺人などの犯罪、裏切りなどの精神的罪を犯した場合、その因縁は強く次の人生に影響を与えます。殺人の被害者と不思議な縁で巡り合って、怨念を受けることになったり、人を裏切ったという前世の影響で現世での人間関係にトラブルが発生するなどはよくある事例です。この人間関係は、恋愛や友情といった濃い精神活動により大きな影響が出やすいのが特徴です。また、悪意の意志を持って行ったことでなくても、結果として誰かを苦しめた前世があれば、その怨念は現世にも因縁として引き継がれていきます。怨念は強いパワーを持つことが多いため、現世の人生に与える影響も大きく、身の回りで不幸が続く、縁に恵まれない、短命などとして現れる可能性が高くなります。前世因縁は罪や罰となって現世に引き継がれていくことが多いのです。
前世因縁と人間関係
前世因縁が人間関係に現れやすいことは、恋愛や友情、憎しみといった感情として体験することができます。前世で恋人や夫婦だったからといって、現世で必ずしも恋人や夫婦になるとは限りませんが、それでも、それに近く深い精神的な関わりを持つことが多く、前世の恋人が、現世では互いにすでに他の人と結婚しているにも関わらずどうしても切ることができない不倫相手となる例も多いようです。また、前世で敵だった相手とは、現世での出会いでも理由のない反感を感じてしまう、逆に、前世での友情が影響して、現世では初対面の瞬間から相手を信頼できるように感じるといったこともあります。恋愛や友情といった人間関係は、人の精神活動の中心となる部分でもあるため、前世因縁として残りやすく、現世にも表れやすいのでしょう。
前世因縁と先祖因縁
前世因縁とよく似たものに先祖因縁があります。この二つはセットで誰もが背負って生まれるものです。前世因縁は、自分自身の前世における行動などが現世に影響を与えるもので、同じ精神や魂が時の流れの中で背負い続けるものです。対して先祖因縁とは、自分に限らず自分の家系の誰かの前世における行動が現世の自分を含む家系全体に影響を与える因縁のことです。これは、必ずしも同じ家系の者が全員同じように背負うとは限らず、例えば長男だけ、女性だけ、ある種の能力を持つ者だけといった限定的に引き継がれていく因縁となることもあります。この二つは切っても切れない関係にあり、現世におけるトラブルを過去の因縁と結びつける時には、必ずその両者を考慮する必要があります。
前世因縁を断ち切る方法
前世因縁は時の流れの中で脈々と引き継がれていくものですが、現世における努力によってそれを断ち切ることも不可能ではありません。前述したように因縁は変化していくものでもあります。そのため、現世の自分の行動次第で前世の因縁を緩和したり軽減したり、時には断ち切ることも可能なのです。その方法は、前世における罪を知りその罰を受けること、そして因縁のもととなっている怨念を鎮めること、さらに次の世に残す善因縁を生み出すことにあります。自分に影響を与えている前世因縁を知らずに因縁を断ち切ることはできません。またそれに対してなんらかの罰を受けることなく逃げ去ることもできません。ただ、その罰の形を永遠に続く不幸として受けるのではなく、違う形で受ける工夫をするのです。これは、日々の善行で贖えることもあれば、強力な霊能者などの力を借りる必要がある場合もあります。また、罪と罰を認めて受け止めた後に、善行や祈りや供養などを行う現世の自分を、次の世の自分へつながる因縁に新たに加えることが大切です。これが善因縁となっていきます。こうして、前世因縁を後世に残さず、新しい善因縁へと変化させることができるのです。
前世の因縁は、すべての人が背負って生まれてくるものです。ただし、その重さや善悪の振り分けはその人の前世次第といえます。現世を生きる自分からすると、前世の分まで背負わされることに不満さえ感じることがあるでしょうが、前世と現世の自分は同じ精神や魂でつながっているため、逃れることができません。現世の自分に唯一できるのは、前世因縁と向き合ってその罪と罰を受け入れ、新しい因縁を生み出すことで、前世因縁を緩和し断ち切っていくことなのです。