盛り塩
盛り塩とは
商店の入り口脇に白い小さな山が作られているのを見かけることがあります。これは塩を盛って作った盛り塩で、厄除けや魔除けのほか、縁起担ぎとして行われているものです。日本では、神事の際に塩を撒いたり盛ったり、浄めの儀式で塩を備えたり塩水で禊ぎをしたりします。葬儀に出席した後も塩で浄めます。招かざる客が帰った後にも塩を撒くことがあります。これらはすべて塩による浄化のパワーを利用したものです。盛り塩も同じで、大切な場所に塩を盛ることによって、災厄や魔を除け、かわりに福を招こうという狙いがあります。
盛り塩の効果
塩の持つ浄化作用によって、その場にある災厄や魔といった邪気を払ってくれるとされます。また同時に、神が立ち寄りやすい環境を作ることで、災厄を防ぐだけでなく福を招くこともできると考えられています。また、招くのは神だけでなく人も含まれます。正しい方法で盛り塩をすることで、良い人を招いて悪い人を払う効果が期待でき、客足や売り上げといった現実的な効果にも結び付くと考えられるため、商店などでは一般住宅よりも盛り塩が行われていることが多いのでしょう。
盛り塩の正しい置き型
天然の塩を利用し、霧吹きなどで少し湿らせた状態で円錐や三角錐の形に盛り上げます。指で形を作るのはすこしコツがいるので、盛り塩用の型を使用すると簡単です。これを、白い小さな皿か白い新しい四角い紙の上に盛ります。広いスペースであれば、左右や対角といった場所に対で置きますが、狭い場所なら1つ置くだけで十分です。盛り塩を置きすぎるとそれぞれの盛り塩の効果がぶつかりあってしまうことがあることを知っておきましょう。また、掃除をしてきれいにした場所に設置することも大切です。
盛り塩を置くと良い場所
人が出入りする玄関や勝手口は、邪を招き寄せやすいとされます。そのため、盛り塩がもっともよく置かれている場所は玄関です。玄関は左右両側に置くと良いとされます。続いて歴史的に長く不浄の場所とされてきたトイレや、食に深く関係する台所などの窓辺に置くのも効果的です。また、個人的に気になる場所や専門家の指摘を受けた場所などにも盛り塩を置くといいでしょう。時には、部屋の四隅に置くことで結界を張る効果を期待できるともいわれます。
盛り塩の設置後
盛り塩は原則として毎日交換するのが良いとされます。それが難しい場合でも毎月1日と15日の月2回は必ず新しいものと交換するようにしましょう。また、盛り塩として供えられた塩は食用にはしません。この塩は災厄や魔といった邪気を吸い取っているため、体内に入れるとそれらを体の内側に吸収してしまうことになりかねません。また盛り塩として放置したままはもちろん、ゴミ箱に捨てたままの放置も邪気が再び放出されてしまいます。シンクなどでしっかりと水と一緒に流してしまうのがおすすめです。
盛り塩の由来
塩に浄めの力があることは、日常生活における経験から知られていました。その塩を盛る、「盛り塩」は神事に塩を使用したことが由来ではないかと考えられています。研究者の間でも決定的な由来は固定されていませんが、少なくとも奈良時代にはすでに盛り塩の習慣があったとされます。
塩が持つパワーは「浄め」です。ただしこれは、塩が邪気をはじいたり消し去ったりしてくれるわけではなく、そこにある邪気を吸い取ってしまうことによって、周囲を浄めてくれるという意味なのです。だからこそ、盛り塩はきちんと新しいものに交換する必要があり、使用後の塩は正しい方法で処分するべきなのです。