かごめ降霊術

かごめ降霊術とは

かごめ降霊術のイメージ

子どもの歌遊びの一つとして知られる「かごめかごめ」。その歌詞についてはさまざまな解釈があり、ただの歌遊びではなく、より儀式的かつ呪術的な意味合いを持つともいわれ、今日では複数の都市伝説の源ともなっています。その一つ、「かごめ降霊術」は霊を召喚する方法として知られています。

童謡であり歌遊びでもある「かごめかごめ」を使って霊を呼び降ろす呪術のことを、かごめ降霊術と呼びます。歌遊びの持つ、手つなぎで作った人の輪の中に一人の子どもを置くというスタイルから、悪魔召喚の魔法陣との共通点を見いだせることもあり、和式の悪魔召喚として降霊術の意味づけが行われたとの考えもあります。

かごめ降霊術の方法

歌遊びのかごめかごめは、歌を歌いながら複数人が手をつないで円陣を作ります。その中心にはじゃんけんで負けた者がしゃがみ込み、両手で顔を隠します。降霊術としてのかごめも基本形は変わらず、通常5、6名程度の参加者が手をつないで輪を作ります。ただ、そこから先はいくつかの変形例があります。あるものは、中心に人を配置せずにかごめかごめを歌いながら回ることで、その不在の中心部に霊降りてくるというもの。人は配置しないが、紙などで作られた人形を置き、そこに降霊させるというもの。また、あるものは、歌遊びの通りに中心に一人が顔を覆ってしゃがみ込み、その人物の「後ろの正面=真後ろ」に立つ人に霊が憑依するというものなどがあります。また、一風変わった降霊術として、一人でかごめかごめを歌いきり、最後に後ろを振り向く、または合わせ鏡で自分の後ろを見るとそこに降りた霊が現れるというものもあります。

呪術的な意味を持つようになった背景

かごめかごめの歌そのものを思い出して歌ってみても、その意味合いを十分に理解するのは難しいでしょう。これは、古い童謡の表現が難しいためではなく、まるで謎かけのような歌詞、陰調なメロディが醸し出す不気味な雰囲気を感じる人のほうが多いからではないでしょうか。かごめかごめの歌の「かごめかごめ~夜明けの晩に」までが、古くから伝わる本来のかごめ歌であり、この部分からは呪術的とまでいかずとも、何かしら陰鬱なムードが伝わってきます。「鶴と亀~」以降は明治時代以降の創作だとされ、かごめかごめの歌がもともと持っていた「陰」の背景に、さらに恐怖心を煽る「後ろの正面だぁれ」などを加えたことで、都市伝説を生み出す土台が作られたと考えられます。

都市伝説かごめ降霊術の落とし穴

都市伝説にはかごめ降霊術のほかにも似たような召喚儀式的な呪術があり、子どもにとって身近な遊びの延長線上に位置する降霊術が複数存在しています。どれも、深い理解や覚悟なしに好奇心などから気軽に行えてしまうところが特徴です。ただ、これらの比較的新しい降霊術は、霊を呼び出す方法としてはその形を完成させていても、その霊の扱い方や返還方法などがわからないものがほとんどです。無暗に呼び出してしまうと、憑りつかれたままになる、霊が野放し状態となるなどの危険性もあります。

降霊術は、霊を降ろすことで、何らかの願望を叶えてもらう、情報を得る、時には好奇心を満たすといった効果を得ることができます。ただし、霊の扱いは決して簡単ではなく、素人が何の準備も知識もなく行うべきことでないのは当然です。かごめ降霊術は、広く知られるこっくりさんなどと同じく、主に子どもたちの間に広まっている手軽な呪術であり、子どもたちの好奇心を大きくくすぐり、満足もさせうるものです。ただ、子どもが作り出したともいえる呪術だけに、未完成な部分も多く、その扱い方には十分な注意が必要であることを知っておくべきでしょう。