魔法陣

魔法の力が宿った神聖な空間

魔法陣のイメージ

悪魔聖霊を召喚するなど、魔法使いが大きな魔法を使う時の儀式に必ず必要となるのが、魔法陣です。魔法陣の基本形は「魔法円(マジック・サークル)」と言って、円形をしています。地面に二重の円を描き、その中に、記号や文字、シンボルなどを描き込むことで、聖なる魔法の力を込めるのです。魔法陣には次のような役割があります。

結界の作用

悪魔を召喚するとき、特に重要な役割を担います。邪悪な悪魔は、術者の言うことを聞いてはくれません。何をしでかすかわからないし、召喚したその瞬間に、八つ裂きにされてしまう可能性も大いにあります。魔法使いが魔法陣の中で召喚を行う場合は、悪魔に外から攻撃されないように、魔法陣の外で召喚を行う場合には、悪魔の動きを封じ込める檻の役目を果たします。

浄化の作用

魔法陣の中は、浄化された神聖な空間です。この中に入るだけで、邪悪な力の影響が取り払われ、魔法使いたちは本来あるべき力を取り戻すことができます。また、円の中は超越したエネルギーに満ちているため、魔法陣の中にいる間は、魔力を増幅したり、反対に制御するなど、力をコントロールすることも可能です。

ソロモンの魔法円

魔法陣には、五芒星六芒星の単体を象ったシンプルなものから、複数のシンボルや文字などを配置した複雑なものも存在します。その中の有名なものの一つとして、「ソロモンの魔法円」をご紹介します。黄色や赤、青などの色を使って描く、直径約180㎝の魔法陣です。円の中心に「Master」(主)、その周囲に「ADONAI」(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の唯一神・ヤハウェの名前の一つ)という文字が書かれた六芒星が4つ、円の外側には五芒星が4つ描かれます。五芒星や六芒星には、邪悪なものを退ける魔除けの力がありますから、そうしたシンボルを複数使っているこの魔法陣は、特に強い魔力の持つ悪魔や聖霊を召喚するときに用いられたと推測できます。

魔法陣が丸い形をしている理由

魔法陣が円形をしている理由は諸説ありますが、宇宙の超自然的なエネルギーを引き入れようとしているのではないかと考えられています。月や太陽が円を描いて宇宙を周っているように、魔法陣も宇宙の動きと同様に丸く描くことで、円の中に宇宙の創造や四季、生・死・再生の循環を表現し、聖なる空間を生み出しているのではないでしょうか。

こうした丸い形は、古代から魔術的な意味を持っていました。病人や出産直後の母親には、悪魔から護るためにベッドの周囲に円が描かれたと言います。イギリスのストーン・ヘンジをはじめとする一部の遺跡では、石が環の形を描くように配置がなされています。このことからも、古代から円の形には何がしかの呪術的・魔術的な意味を見出されてきたと考えられるのです。