五芒星

古代から存在する魔除けの印

五芒星のイメージ

五芒星(ペンタグラム)は、世界的に最も有名な魔除けの印の一つです。邪悪なものをはねのけ、あらゆる災厄を遠ざけます。五芒星が使われ始めたのは、紀元前3000年頃。世界最古の都市文明、シュメールの時代だと言われています。

もともと古代では、丸や三角などの図形には聖なる力が宿っていると信じられてきました。中世に活躍した魔法使いたちは、そうした形を使い、魔法の力を強め、護符や魔法陣おまじないなどに活用したのです。

悪魔が五芒星を恐れる理由

それではなぜ、五芒星には魔除けの効果があるとされてきたのでしょうか。

それは、図形の中に「目」がたくさんあるからです。悪魔や悪霊は、「目」を恐れる習性があります。線と線が交差する点が「目」の役割を果たし、邪気を遠ざけるのです。一番簡易的な魔よけは「十」の字ですが、目(=交点)が多く存在する図形の方が、たくさんの目で悪魔を見張ることができるため、強い威力を持つと信じられてきました。

また、五芒星は「一筆書きで描くことができる」という点でも優れています。点と点が必ず結びつくことで結界となり、邪悪なものを閉じ込めたり、反対に邪悪なものの侵入を防ぐ効果があるのです。

五芒星は、日本でも魔除けとして使われていた!

日本において、五芒星は「晴明紋」「晴明桔梗」と言います。平安時代に活躍したとされる陰陽師・安倍晴明の家紋でもあり、陰陽道の護符に記されていたことから、こう呼ばれています。五芒星は、陰陽道の基本概念である五行(火・水・木・金・土)のシンボルとして、大変重宝されました。

このほかにも、三重県志摩地方の海女が身に着ける「セーマンドーマン」という魔除けにも、五芒星は使われています。五芒星(セーマン)と格子状の印(ドーマン)を黒い糸で示し、海での安全を祈願するものですが、陰陽道とのかかわりは明らかにされていません。

このように、西洋だけではなく、日本をはじめとする東洋においても、五芒星は魔除けのシンボルとして活用されてきたのです。現代では、国旗のデザインにも用いられることもあります。

向きが変われば「悪魔崇拝」のシンボルに

魔除けとして長年信仰されてきた五芒星ですが、逆位置になると「悪魔崇拝」のシンボルになってしまいます。中世ヨーロッパの闇の魔法使いたちは、五芒星を逆さにして、そこに悪魔の顔を組み合わせました。さらに、通常は白地に黒い線で描くものを、黒地に白い線で描いたと言います。闇の魔法では、すべてを逆に行うことで、聖なる力を闇の力に変えることがセオリーとされています。逆位置の五芒星は、まさにそれを象徴したものだと言えるでしょう。