六芒星

聖なる力が宿る魔除けのシンボル

六芒星のイメージ

六芒星(ヘキサグラム)は、五芒星と同じく、古代から使われてきた魔除けの印です。上向きの三角形(△)と下向きの三角形(▽)が組み合わさった、星形の多角形をしています。

なぜ魔除けとして使われていたかというと、悪霊や魔物は、凝視されることを嫌う習性があるからです。六芒星や五芒星などの図形の線と線が交わる交点を“目”に見立て、御守や護符にマークとして記すことで、邪気をはねのけたのです。

中でも六芒星はたくさんの“目”があるため、とりわけ強い効力を持ちます。その聖なる力は世界中で信じられており、例えば、ユダヤ教では「ダビデの星」「ソロモンの印章」と呼び、宗教そのものやユダヤ民族を表すシンボルマークとして扱いました。また、日本の神社仏閣でも、このモチーフは見受けられます。六芒星は「籠目紋」と言われ、三重県の伊勢神宮の参道にあった石灯篭や、京都府にある鞍馬寺の石畳などにも描かれています。

安定・調和を表す「6」の数字

図像学では、六芒星を形どる2つの三角形を分解し、上向きの三角形は“能動的原理”、下向きの三角形は“受動的原理” を表していると言われています。つまり、六芒星のマークは“男性エネルギーと女性エネルギー”“陰と陽”“火と水”“上昇運動と下降運動”など、「相反するエネルギーを調和した姿」であり、とてつもないパワーを秘めていると信じられていたのです。

もともと「6」という数字には「安定」「調和」という意味があります。さらに、「6」は「3」が2つ合わさったもの、という考え方もできます。「3」には「創造性」という意味がありますから、「宇宙のエネルギー」「奇跡を起こす」数字だととらえることもできるのです。中世ヨーロッパに伝わった錬金術で、魔法使いたちが六芒星を「賢者の石」の象徴だとしたのも、六芒星の力で奇跡を起こそうと考えたのかもしれません。

また、六芒星の頂点をつなげると六角形の形になりますが、不思議なことに、自然物には「六角形が最も安定したエネルギーを発揮できる形だ」とインプットされています。例えば、ハチの巣のハニカム構造や、雪の結晶、亀の甲羅、昆虫の複眼も拡大すると六角形の形をしていますね。このことからも、六角形は力学的構造にも理にかない、大自然の秩序にも適合した奇跡の形だと言えるのです。