秘密結社

その活動内容や目的などの一切が秘匿された集団

秘密結社のイメージ

秘密結社とは、何かしらの使命を持つ人たちが集まる集団のことです。多くの秘密結社において、何を目的に創設された集団なのか、どのような活動をし、どれほどの団員がいるかなど、その全貌は明らかにされません。団員たちが第三者に口外することも一切禁じています。

「慈善目的」や「革命目的」、はたまた「犯罪目的」など、秘密結社の活動目的は多岐にわたりますが、主に「政治的秘密結社」「宗教的秘密結社」に大別できるでしょう。古代の秘教に始まり、現代に至るまで、秘密結社は時に新しい国家を築き上げ、時に人々の信仰心を改めたりしながら、歴史の陰で暗躍してきたのです。

その起源は同業組合!?

現代においては、「陰謀論」などの飛躍した議論と、何かにつけ結び付けられがちな秘密結社。その一つの起源として、職人たちや職業を同じとする人々の同業組合だったのではないかという説があります。

伝統的な職人たちの技術は、秘伝の継承によって守られてきました。しかし、中世以降、産業が発展し機械化が進むと、職人たちの地位が脅かされ始めたのです。そこで、石工や錠前工、指物師、大工などの職人たちは、同業組合を結成することで、自分たちが保持する高度な技術や地位を守ろうと試みました。組合員たちは、合言葉を交わし、バッジを見せ合うことでそれぞれの身分を確かめ合ったり、杖を十字型にして地面に置き、複雑な挨拶を交わすこともあったと言われています。

中世に数多く存在したギルドのうち、最高レベルの知的水準を誇っていたのが、王宮や大寺院を建設する石工のギルドでした。これが、現在も活動が続く秘密結社「フリーメイソン」の起源だと考えられています。ギルドの時代と現代にも共通するのが、いずれもシンボルに直角定規、コンパス、鏝(こて)などを用いていることです。このことからも、かなり信憑性の高い説だと言えるでしょう。

入団式は試練の一環

秘密結社が人々の興味を駆り立てる一因として、入団する際に行う儀式が挙げられます。団体によってそれぞれ活動が異なるように、入団式も様々です。刺青を入れるなど、共通の符号を与えるものもあれば、犯罪目的の秘密結社の中には、殺人を強要するケースもあるようです。入団希望者に対し、入団式であえて恐怖を感じさせることで、「これに耐えた者は別人格として生まれ変わり、団員として認められる」という試練を与えるのです。こうした儀式には、俗世と折り合いをつけるためだけではなく、団員間に「共通の試練を乗り越えた」という強力な仲間意識を芽生えさせる役割もあると考えられます。

薔薇十字団」「黄金の夜明け団」など、秘密結社はしばしば映画や小説などにも登場するので、「名前を聞いたことがある」と思った方も多いのではないでしょうか。全貌がベールに包まれているミステリアスさと、ネガティブなイメージから来る一種の不気味さが相まって、人々を惹きつけてやまないのでしょう。