憑依
主に霊が起こす憑依現象とは、生き霊あるいは死者霊に乗り移られたり取り憑かれたりしている状態を言い、憑依された人や物は、行動、感情のすべてまたは一部が支配されるとも言われています。この憑依現象を起こす生き霊や死者霊は、人間の場合もあれば動物(キツネ憑きなどが知られています)の場合もあります。
憑依によって起こり得ることとは
憑依されると、その霊が持つ生前の記憶や感情が、憑依された人や物に影響を与え、様々な現象を引き起こすと言われています。たとえば現世に思い残したこと、つまり強い未練がある霊はそれを果たそうとしたり、苦しみや痛みを強く記憶する霊は、取り憑いた人の身体に同じかそれ以上の苦しみや痛みを体験させることさえあります。成仏できない霊の中には、自分が霊としてさまようことになった理由を思い出せないものもいます。そのような霊の多くは、決まった目的を持つことなく憑依した相手を不幸へと導きます。悪質な霊体だと、憑依した相手を苦しめることを楽しんでいる傾向さえ見られます。
ただ、憑依は必ずしもマイナスにだけ働くわけでもありません。時には、強い霊力の影響を受けることで、取り憑かれた側の霊力が高まって、病気やケガの治癒や運勢の好転などが起こることもあります。もっとも、それらは憑依した霊が意識的に行っていることではなく、霊障が偶然プラスとなって現れたに過ぎません。あくまでそういう一例もある程度のことで、実際には不運を呼び寄せたり体調や人格を変化させたりと、憑依された側を不幸にすることの方が多いのが現実です。
憑依が起こる過程
霊は実体を持ちません。そのため、現実世界に影響を与えるために、なんらかの実体を持とうとすることがあります。石や木などの自然物に憑依して、不自然な現象を引き起こすことも、人に取り憑いてその言動を思うままに操るにも、実は霊体と憑依される側との相性が関係してきます。霊体と人が出会えば即憑依、というわけでもないのです。力の強い霊の中には、憑依する相手を選ばないこともありますが、それができる霊は多くありません。ほとんどの霊は、自分の持つ感情と似たネガティブなものを持っていたり、霊に取り憑かれやすい体質(霊媒体質)をしている人や物に憑依したりします。
人と霊の出会いの場合は、偶然であることが多いようです。事故現場を精神的に落ち込んだ状態で通りがかった、自殺のあった部屋に引っ越したなど、霊のいる場所に安易に近付いてしまったり、霊感のない人間が呪いや祈願などで霊を呼び寄せる行動をした結果として起こったりします。
人への憑依はどのようにして進むか
霊に憑依されるきっかけは偶然が多いものの、その場で完全に憑依されてしまうことは少ないとされています。霊としても、霊質や波長が合わない人に取り憑くことは、その霊力を弱めたりときには消滅につながることもあるため、慎重にならざるを得ないと考えられます。
まずは、霊に付きまとわれることから始まるとされます。この状況では、まだ取り憑かれてはいないものの身近なところに霊が付き従っているために、何らかの霊障は起こり始めます。霊感を持たない場合にはそれに気づくことが難しい面もありますが、霊能力のある人が身近にいれば気付いてもらうこともできますし、霊の側でも相性が合わないと離れて行ったりで、結果的に憑依の段階まで行かないケースもあります。
しかし次の段階に進んでしまうと、霊は狙った相手に憑依するための準備を始めます。眠っている間や感情が大きく揺れ動いた時などを狙って一時的に憑依状態を作り出し、それを繰り返して憑依に慣らされていきます。この段階に入ると徐々に冷静な判断力が失われていき、憑依される側は自分の意思では逃れることができなくなります。
霊の持つ力が強い場合や憑依される側が精神的に弱っている場合には、さらに憑依は深まっていき、最終的に心も身体も乗っ取られてしまう完全な憑依となってしまいます。こうなると自分では成す術がありません。周囲が気付いて正しく対処しないと、本来持っていたはずの人格が完全に失われてしまう危険な状態になる可能性もあります。
憑依を招く原因と対処の方法
霊に取り憑かれやすい霊媒体質者はもちろん、霊的な力を持たなくても、ほんの一瞬霊と波長が合うだけで取り憑かれる可能性もあります。霊が付け入る隙を与えないよう心身を強く健康に保つことは、憑依を防ぐ上で重要なポイントです。霊媒体質者は、自分の体質を知り、能力のコントロール法を学ぶことで憑依を防ぐことができます。当然のことですが、霊の憑依を防ぐには霊のいそうな場所に近付かないことが一番の対策となります。しかし、霊が集まりやすいとされる場所を避けることはできますが、霊の存在に気付くだけの霊力や霊感がなければ、結局は完全に防ぐことができないとも言えます。
霊に憑依されて時間が経つと、それだけ対応が難しくなります。そのため、霊の影響を受け始めた初期段階のうちに、霊能者なり呪術師なりといった専門家に相談することが大切です。しかし、憑依されている本人は自分が憑依されていると気付きにくいため、周囲の助けが必要となるでしょう。たとえばあなたの周りに人格や性格、食などの好みが大きく変化した人がいれば、注意して観察し、必要に応じて専門家に相談しましょう。