口寄せ

イタコの口寄せとは

口寄せのイメージ

そもそもイタコとは、東北地方、下北半島に存在する霊媒師のことを指しています。イタコたちは、先天的に視力がなく、生活をするためにイタコのもとへ修行に出て、厳しい訓練を受けたのち、霊能力を身に付けた霊媒師を言います。少女の頃から弟子入りしている場合もあり、日本に長く受け継がれてきた伝統霊媒術と言えます。

イタコの口寄せとは、イタコが霊能力を駆使して、亡くなった人を自分に憑依させて、霊の代わりに、その霊が抱く気持ち、意志、考えなどを語る降霊術です。生きている者がイタコを通して、死者と対話をすることを指します。

なお、口寄せには、基本的に下記の4種類に分かれています。

  • 神口(カミクチ):神霊にお伺いを立てること。
  • 仏口(ホトケクチ):死者の言葉を伝えること。
  • 生口(イキクチ):葬儀の終わっていない死者の言葉を伝えること。
  • 死口(シニクチ):葬儀が終わった死者の言葉を伝えること。

口寄せで、できることとは

家族、恋人、友人など、死者と近い人物が、亡くなった人の気持ちを知りたい、相談をしたい、会話をしたいと強く願い、イタコのもとに口寄せを依頼してきたとき、イタコは依頼者が会いたいと願う死者の霊を憑依して、願いを叶えることができます。これは口寄せの中でも、仏口、生口、死口にあたる能力です。

神口になると肉親の声を聞くのではなく、仏様や神様の言葉をいただくことになります。この場合は、安産祈願、安全祈願、病気回復、大願成就、または悩み事の解決などを依頼される場合の口寄せになります。また神口は、予言や予知などの力と同一視されることもあります。イタコに降霊した死者や神仏の言葉などで、依頼者は、わだかまりが解けたり、安心したりと、癒し効果も得られると言われています。

イタコに口寄せ依頼ができる場所

イタコに確実に会えるのは、青森県・恐山が有名です。恐山は比叡山、高野山とともに日本の三大霊山と言われており、近年ではいわゆるパワースポットとして広く知られています。ただ、恐山に行っただけではイタコには会えません。「恐山大祭り」「恐山秋詣り」などのお祭りのときにイタコたちが恐山に入るので、そのときに口寄せを依頼することが確実でしょう。これらの行事は昭和30年代から続いている伝統的行事で、毎年多くの人がイタコの口寄せを求めて全国からやって来ます。予約はできないので、順番待ちとなりますが、毎年、大行列ができる人気イベントです。一人につき、降霊はひとりという決まりはないので、時間がかかることを覚悟しておくべきでしょう。

料金設定はない場合と設定されている場合とがあります。ただ、ない場合でも謝礼は準備しておくのが礼儀でしょう。気持ちや志として、死者をひとり降霊するにつき3000~5000円が目安と言われています。降霊する人数が増えたら、その人数分包むと良いでしょう。