自動書記
自動書記とは英語のAutomatismの訳語で心霊現象の一種です。降霊または霊憑依によって霊媒本人の意志と関係なく筆が動き、様々なメッセージを記していく現象であり、多くの場合はトランス状態の中で引き起こされますが、本人の意識はそのままで手だけが勝手に動くということもあります。英国で19世紀末に心霊研究が隆盛を極めていた頃には、交霊会において自動書記を行う霊媒が数多く活動していました。また現代においても、チャネリングの分野でこれを行っているチャネラーもいます。
本物の自動書記は、降りてきた霊が霊媒の手を借りて自らのメッセージを書き記すという形になるので、ときには霊媒本人が知らない外国の言語や古代文字などが記されることもあります。またその書くスピードは尋常でないほど速いことが多いのも特徴です。そのため乱雑でミミズがのたくったような字になることもあり、後から文字を判別して解読するのに手間はかかりますが、きちんと意味の通ったことが記されていることから、霊媒自身が自分で考えて書いた文章ではなく、霊が書かせたものであることの証左ともなります。
自動書記現象は日本ではお筆先と呼ばれ、大本教の出口なおや神道家の岡本天明などが書き残したものが有名です。とくに岡本天明がお筆先によって記した天界からの膨大な量の預言メッセージは『日月の神示』と呼ばれ、現在での多くの人々に読み継がれています。
霊媒的能力に長けた霊能者の中にはこの自動書記を任意で引き起こすことができる者もおり、降ろす霊まで自ら指定してその霊のメッセージを文字として書き起こします。例えば特定の故人の霊や守護霊などを自らに降霊憑依させて、その言葉を相談者に伝えることもできるのです。
同じ霊媒型霊能者の代表であるイタコは口寄せによって生の音声として霊のメッセージを伝え、降ろした霊と相談者が直接会話することもできますが、自動書記の場合は原則的に一方通行の伝達となります。ただし、こちらの質問に対してその都度、霊が回答を書き記すということを繰り返せば、筆談の形でコミュニケーションを取ることも可能です。こうした高度な自動書記現象を引き起こすことができる霊能者の数はごくわずかですが、現代の日本にも存在していることが確認済みです。
なお自動書記現象は霊的な自動作用のカテゴリーに入るものです。同じ範疇の現象としては、自動絵画(霊憑依によって霊媒が描画する現象)、ウィジャボード、こっくりさん、ダウジング、O-リングテストなどがあります。