魔術

魔術のイメージ

魔術には、白魔術と黒魔術という2つの分類があります。白魔術は基本的に、好ましい目的を達成するために用いられるもので、敵を害して味方が有利になるように働きかけてくれるものです。例えば、恋愛成就や自分の目標を叶える際などに白魔術はよく使用されます。白魔術では動物や鉱物、精霊、天体(宇宙)など、生物や自然のパワーを借りて、魔術としての力を発揮することが主となります。その超自然的なものの力を借りるという意味から、「自然魔術」と言われることもあるようです。

一方で黒魔術は、超自然的なパワーを借りることはありません。自分の要望や要求を叶えるために、悪魔を呼び出しその悪魔と契約を交わして力を借りるようになります。悪魔との契約が成立すれば自身の要求を叶えてくれますが、交渉が成立するまでに悪魔の恐怖に負けてしまい精神が崩壊してしまうことや、例え交渉できたとしても悪魔が要求してきた代償で危険な目に遭ったりすることもあります。魔術師として経験が浅くレベルが低い場合、悪魔へ要求するどころか取り込まれてしまうこともあります。もっとも、その程度の魔術師には、悪魔を呼び出すことすらできないかもしれません。

悪魔との契約について補足しましょう。黒魔術を行ったから必ず要求が満たされるということはなく、要求が困難なら困難なほど、悪魔も人間側に大きな代償を求めてきます。好んで人間のサポートをしている訳ではないので、悪魔側にも利益があるように交渉、契約をするようにしてきます。悪魔と契約をするためには、召喚魔術を使い悪魔を呼び出す必要があります。本人の安全を確保するために魔法陣を作り、その魔法陣の中に入ります。そして宣言し、香を炊いて呪文を唱えて悪魔を呼び出します。呼び出し方を間違ってしまったときは、本人だけでなく家族や大切な人の命も奪われてしまう危険性が伴うので、素人が安易に行えるものではありません。呪い、召喚、魔術に関する豊富な知識がある者ですら、危険と隣り合わせな行為がこの黒魔術と言えるでしょう。

また、魔術にはいくつもの方法が存在しています。例えば以下のような魔術があります。

儀式魔術
呪文を唱え自分がイメージしていることを、世界に及ぼそうとする方法です。儀式魔術にも様々な種類があり、長時間行う儀式魔術もあれば、カバラ十字・小五芒星儀式などの比較的規模の小さい儀式魔術もあります。
魔女術
魔女が薬草や毒草、昆虫などの生き物を釜にくべて、各種の願望や目的に合わせた薬やパウダー、オイルを生み出して使う術を指します。
混沌魔術
妖術や妖物から生じる心的な力を利用して、財産や健康などに危害を与える魔術と言われています。
高等魔術
理論的、実践的に自己を実現したり、個性化を目指したりする意識制御のために行う魔術のことです。文字通り、レベルの高い魔術師向けです。
錬金術
物質を変換したいときに用いる魔術で、主に金の亡者を対象としています。有名な「賢者の石」は、鉛を金に変えて、それを食することで不老不死を手に入れられるという伝説があります。
治療魔術
病気やけがの治療に用いる魔術で、生命エネルギーをコントロールして、体調を整えることができます。
自然魔術
大自然の中など、自然を感じられる場所で行う魔術です。自然の力を借りながら自分の魔術意識を高めて力をコントロールすることができます。
死霊術
亡くなっている霊を呼び出して、霊から直接話を聞くことのできる魔術です。また、亡くなった人を復活させる術もあり、命令した通りにコントロールすることもできます。

この他にも、魔術の方法はたくさんありますが、目的や願い、呪いによって魔術の方法が異なっているということです。いずれにしても、魔術を行うためには知識や準備が重要ですし、絶対に他人に知られてはいけないなどのルールもあります。魔術を行う際には、揺るぎない想いと用意周到にして臨む姿勢が絶対に必要です。

霊や自然、悪魔、天使などの力を利用して、一般的な人間からは発することのできないパワーを発揮することができるのが 魔術なのです。魔術界で有名な「アレイスター・クロウリー」曰く、「魔術とは意志に応じて変化を生ぜしめる学にして術である」と述べています。つまり、思うように操ることのできる能力・技術であるということです。魔術師によって魔術の定義が異なっているのですが、それは一人ひとりの魔術師の目的や様式、目標などが異なるものであるからです。いずれにしても、魔術とは代償を必要とするが、本来人間が持っている以上の力を自然界などから借りることを示しています。