パラケルスス

パラケルススのプロフィール

パラケルススのイメージ

パラケルススは、にスイスで生まれました。本名は、テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムといい、医者であり化学者でもあったと言われています。父親の影響により、幼い頃から自然哲学を学び、やがて医学も学ぶようになったそうです。学生時代以降、ヨーロッパ各地を放浪しながら、医療の研究に没頭していたとも言われています。医学を追求するその傍ら、錬金術師、悪魔祓い師(エクソシスト)などの肩書も持っていたとされ、特に錬金術師としては、ホムンクルス(人造人間)を精製した人物として錬金術の世界や魔術の世界で名前が残っています。そもそも、錬金術師を世に知らしめた人物として有名なので、パラケルススは錬金術の父であると呼ぶ人もいるほどです。

医師としてのパラケルススは実に優秀であり、完治が不可能とされた病さえも治す医学術を持っていたとされています。天才的な医師であったそうですが、人間としては取っ付きにくい、そして扱いにくい人物で、トラブルも多かったと記されています。大酒飲みで、議論好き、相手を論破せずにいられない激しい性格の持ち主だったそうです。さらにはプライドが高く、決して妥協もしなければ譲歩もしないため、敵対する人間が多かったとのこと。そういったことから、ヨーロッパ各地を放浪していたのは、この性格が災いして一ヶ所に留まることができなかったからだ、という説もあります。

パラケルススの錬金術

パラケルススは、常に宇宙と人間の関係を追及してきた人物でもあります。宇宙は遊星からなる天上世界と恒星からなる霊的世界から構成されており、人間は地上に存在するときのみ身体を持ち、天上に存在するときは精気であり、霊界に存在するときは魂である、と説きました。夢や天変地異もすべて、宇宙と人間の密接な関係から生ずるものだと語っているのです。

そういった思考の元、パラケルススが取り組んだのが錬金術の分野でした。ある触媒を通して、化学的な方法で卑金属から金や銀の貴金属を作りだすことができるとされるのが錬金術です。合成させる触媒として賢者の石が使用され、パラケルススは賢者の石を保持していたと言われています。また彼は、すべての現象は三元素で作られていると語っており、それはすなわち、硫黄・水銀・塩の3つです。これに賢者の石を触媒として使用し、貴金属が作られるとしていました。

人造人間とも呼ばれるホムンクルスは、錬金術の進化系の先にある存在と言われていました。パラケルススは錬金術を究めるにあたって、貴金属だけでなくこの人工生命体も作ることで己の能力を証明しました。彼が作りだしたホムンクルスは、フラスコの中の小さな妖精とも言われ、そのフラスコの中でしか生きられなかったとされています。ですがそれは単なる人形などではなく、知恵を持ち会話さえも可能な生物だったと伝わっています。パラケルススが錬金術によって作ったホムンクルス、現代科学で言うところのクローンの前身ではないかとの説もありますが、その詳細は未だ完全には解明されていません。