ソロモン

ソロモンとはなにか

ソロモンのイメージ

旧約聖書の「列王記」登場する古代イスラエルの第三の王、それがソロモンです。父親はダビデ、母親はバド・シェバといい、古代イスラエルの繁栄を支えた王として名を残しています。また、ファラオの娘を彼は妃としたそうです。ソロモンは知恵の王と言われ、知恵文学の著者という説もありますが、残念ながら歴史的な根拠はないとも言われていてはっきりしません。ユダヤ教の秘儀カバラが記された「ラジエルの書」を託され、多くの天使悪魔を使役した神秘の王として知られています。

イスラエルを建国し、繁栄に導いたソロモンの力は神の御心によるものであったとされていますが、王に君臨した後のソロモンは、物質的な満足を強く求めるようになったとも言われています。ソロモンは欲望に取り憑かれたことにより、神の力をやがて忘れていき、それにしたがって霊的な力が衰えていってしまったとか。そしてソロモンの死と共に、イスラエル王国は分裂、やがてそれぞれの国も滅ぼされる運命をたどったとされています。

ソロモンに関するキーワード

ソロモンの大いなる鍵

大英博物館に保管されていたソロモンに関する書を元に再構成された魔術書。グリモワールとして有名な書物でもある。しかし、魔術者たちは魔女裁判を避けるため、ソロモンの書物を断章として保管していたり、所持していたりしたことを隠していたと言われている。

ソロモンの指輪

大天使ミカエルよりソロモンに贈られた指輪のこと。この指輪には、様々な天使や悪魔を使役し、動物の言葉も理解できる力があると言われている。ソロモンはこの指輪の力で神殿を建築し、天使も悪魔も自在に操った。

ソロモン72柱

ソロモンが残した72対の悪魔のこと。魔術書「レメゲトン」でその存在が知られるようになった。72体にはそれぞれ特徴があり、また王、君主、公爵などの階級も決まっているとされる。

レメゲトン

レメゲトンは、ソロモンが残した魔術書のひとつ。全5部で構成されており、「ソロモンの大きな鍵」よりも悪魔の種類や召喚方法、その手順が詳しく記されており、こちらの方が現在は多く語られる。内容は以下の通り。

1:ゴエティア
ソロモンが72体の悪魔を呼び出して、様々な方法で願望を叶える手段を記したもの。悪魔の階級も記され、悪魔名鑑のような趣がある。ソロモンの書物の中でも一番有名な章であり「ソロモンの小さな鍵」と呼ばれる。
2:テウルギア・ゴエティア
悪魔と天使、両方の精霊を記したもの。神霊を祈祷する儀式的実践で召喚魔術であり、人間よりも上位の霊による魔術を記していると言われている。ゴエティアに比べ、テウルギア・ゴエティアは、より一般的な魔術法を記しているとの解釈もある。
3:アルス・パウリナ
黄道十二宮360度の角度一つ一つに宿る精霊・惑星・星についての魔術書。アルス・パウリナは善の精霊のみを扱っている。アルス・パウリナは「聖パウロの術」と言われ、パウロ(新約聖書著者のひとり)が発見したと言われている。
4:アルス・アルマデル・サロモニス
アルス・パウリナと同じく善の精霊のみを扱った黄道十二宮360度の角度に宿る精霊とともに、天の4つの高度の大精霊の操り方を記した書物である。アルス・アルマデルは「アルマデルの術」の意味がある。
5:アルス・ノヴァ
ソロモン王が実際に祭壇で使っていた、祈りの言葉が記された書物。大天使ミカエルが稲妻とともにソロモンに授けたもので、ソロモンは他の神からも数々の手記を授かっているとされる。