動物霊
動物霊とは?
よく「こっくりさん」を行うときなどに呼び出され、降霊されることで話題に上る「動物霊」。かつてこの世に生きて死んでいった動物が、霊魂となりさまよっている状態や存在のことを動物霊といいます。またこの動物霊は、人の霊とは異なる性質や特徴を持つといわれています。その動物霊の詳細について見ていきましょう。
動物霊とは、死んだ動物の魂が霊魂となった状態のことで、現世でも周辺をさまよっているといわれています。また、神社などで祀られている動物の精霊や神使を指すことも、しばしばあります。動物霊は、人の霊魂と比べて低級であるとする人もいて、低級霊として捉えられることもあります。一般的に、動物霊は犬や猫などのペットや、家畜となる牛や馬など、人間により親しみのある動物の場合と、神社などで祀られている類のキツネや蛇などの場合とがあり、特に前者の飼い犬などは、死後に人間の守護霊となるケースが多いといわれています。また、精霊の場合でも、レベルが分かれており、低級の悪霊から高級の特別な霊までさまざまな種類が存在するという説もあります。つまり動物霊について、絶対的な定説は存在していないのです。
動物霊の憑依について
霊は人間に憑依することがあります。特に何も身体に無理をさせていないのにもかかわらず、肩や足、腰などが重くなったりする場合、この霊の憑依の可能性が考えられます。憑依する霊は人間の霊だけでなく、動物霊のこともあります。動物霊の場合、キツネや蛇が憑依することが多いといいます。動物霊に憑依されると、普段は普通の人と同じように日常生活を送ってはいるものの、ときに異常な行動に出ることがあります。例えば、人が変わったように暴言を吐いたり、獣のような動きをしたりします。これは、動物霊が神がかり的なアクションをとることで、人間たちを威圧するためといわれています。また、会話が支離滅裂になることが多く、思い込みによる言葉が多くなる傾向があります。憑依された者の部屋はたちまち散乱しはじめ、お金や物に対する執着心が強くなる、動物の体臭がする、眼光が怪しく光るなどの変化が見られることもあります。
動物別、憑依の傾向
例えば、蛇であれば嫉妬や未練、物事への強い執着の念が引き寄せやすく、狐であれば人の不幸を願うような姑息で卑怯な念が引き寄せやすいといわれています。実際に蛇に憑かれた場合、非常に執着が強くなり、攻撃的で人に憎しみを感じさせる人間になっていくといわれています。また、性欲がコントロールできなくなったり、陰湿さや冷酷さが現れたりもします。あるいは狐に憑かれた場合、プライドが高くなり、服装や装飾品が派手になる傾向があるといわれています。また、人を平気でだまして嘘を吐いたり、感情の起伏が激しく攻撃的になったりと、周囲を惑わす言動が増えていきます。
動物霊の憑依を防ぐには
特に、神社や仏閣には動物霊が多く存在するため、拝み方によっては動物霊たちを呼び覚ましてしまい、憑依されるケースが多いといわれています。また、食欲や性欲などが高まり、エゴなどに発展すると、動物の波動と一致しやすくなることで、より動物霊に憑依されやすくなるといわれています。憑依されやすい人の性格的な特徴としては、気性が激しく、周囲に対して攻撃的であることが挙げられます。例えば、自分の思い通りにならないとかんしゃくを起こしたり、自分の考えを他者にも強要したりする傾向のある人です。動物霊に憑依されないようにするためには、人間らしい冷静さを保ち、周囲への慈愛や感謝の精神を持つこと。そして、動物霊に左右されない強い意志を持っていることが大切です。
また、動物虐待をすると、動物の怨みをかい、動物霊の怨念の餌食になるケースも多いといわれています。また、ペットとして犬や猫を飼っており、異常に愛情を注いでいたために、死んだ後も動物たちを成仏させられていないというケースも。動物を虐待しないことはもちろん、ペットといえども、亡くなった後は執着を解いてあげることも動物霊を刺激しないための大切なポイントです。
動物霊の除霊
動物霊に一度憑依されてしまうと、そのパワーは増大であり、ときに人間の霊よりも強いため、自分では対処するのが難しいとされます。また、理性を失い言動が荒々しくなるため、周囲の人間ではなかなか太刀打ちできないことも。この場合、専門家に除霊を依頼するのが最も早く確実な解決策となるでしょう。除霊はたいてい、寺院や神社の関係者や除霊のできる霊能者が行います。まずは霊を呼び出し、その霊を説得した上で霊界に去ってもらい、その後しかるべき方法で供養する、この流れが一般的です。供養としては、お経を唱えながらゆっくりと浄化させるようなスタイルをとることが多いようです。動物霊だけでなく、あらゆる霊の除霊を受けると、オーラが浄化され、精神が健康になるため、気分がラクになったり、頭痛や肩こりなどの症状も緩和したりするといわれています。
ここで動物霊の除霊の例を挙げてみましょう。まず、憑依していると思われる動物が好む食べ物、いわゆる餌を用意します。そして、水を8分目まで入れたコップを用意し、座禅を組んだ両側にそれぞれを配置したら、一度外に出て、自分の身を塩で清めます。その後、玄関で盛り塩をしてから除霊する部屋に戻ります。部屋に戻ったら、悪霊とのかかわりを断ち切るためのお経を唱えます。除霊が済んだら、身体に塩を一つまみかけます。
霊的存在としての動物霊
動物霊は、人間に憑依する恐ろしい存在のように見られているところが大きいですが、一方で、霊的存在としては人間の守護霊となって働いているという説もあります。例えば、人間が飼っていた犬や猫が死んだ後、飼い主の人間の守護霊となるケースがあるといわれています。また、動物霊は浮遊霊となることもあります。自然の摂理によって、動物が動物のエサになって死んでいく場合は、特に浮遊する恐れはないですが、動物実験などの残酷な方法で苦しみながら殺された場合、浮遊霊となることがあるのです。浮遊霊となった動物霊は、何かしら悔恨の想いで人間に憑依することがあります。
生前、人間だった霊が動物霊になることも
一般的に、動物霊が憑依したといわれるとき、狐や蛇などの本物の動物が死んだ後の霊が憑依したものと考えられていますが、実際は死んだ人間が動物の姿になり、憑依しているという説もあります。死後、動物霊になるような人間は、生前、あまりに動物的な本能のままに、欲望だけで生きていた人間であり、人間としての尊厳を忘れ去った人間だといわれています。心が欲望の赴くままになっていると、霊体そのものも動物的になることから、憑依して人々を恐怖に陥れる動物霊と呼ばれる存在は、この落ちぶれた人間の霊であるという説もあります。
各宗教における動物霊
- 神道
- 神道においては、動物霊に関する思想が見られます。そもそも、神道はアニミズムという「万物に霊魂が宿る」という思想が根底にあり、動物にも当然霊魂があるというのが基本的なスタンスです。また、神道では「狼」の語源は「大神」であるとする点からしても、動物に対して神聖視する傾向を見て取ることができます。実際、神道の神々が祀られている神社の中には、狼や鹿を祀るところが見受けられます。
- キリスト教
- キリスト教では、その聖典である旧約聖書にも新約聖書にも、動物霊についての記載はないといいます。
- 仏教
- 仏教では、霊魂について触れることは基本的にないため、特に動物霊について語られる箇所は見受けられないといわれています。とはいえ、仏教の中は、菩薩の一つである「馬頭観音」という存在があります。これは、最高神ビシュヌが馬に化身して、聖典を悪魔から取り返したというエピソードから名付けられたとされる存在です。この馬頭観音への信仰が日本で普及すると、やがて馬の保護神と化したといわれています。
- ヒンドゥー教
- ヒンドゥー教では、基本的に動物にも霊魂があるという考え方があります。万物の霊魂を尊ぶ思想があるため、象や牛などは神の使いであるとし、神聖視されており、動物の殺生は卑しいとされています。蛇や鷹、牛、猿などの動物神の存在が語られます。
シルバーバーチによる動物霊のくだり
近年、スピリチュアル界で大きな存在感を放っているシルバーバーチは、頃にイギリスの青年モーリス・バーバネルを介して心霊主義の教訓を説いたとされる霊です。このシルバーバーチは、動物霊についてのメッセージも残しているといいます。
例えば、動物霊は、霊的進化の過程にある存在であり、アメーバ状態から、爬虫類、魚類、鳥類、哺乳類の順で高度になっていき、果ては人間へと成長するという話があります。また、動物霊は二度と同じ種類に生まれることはないとされています。動物霊で最も霊的に進化しているのは犬で、次は猫といわれています。これは、犬と猫が人間のペットとして非常に親しまれ、愛されていることが理由だといいます。シルバーバーチは、人間が飼うペットとしての動物について、その死後にも言及しています。人間のペットであった動物は、死後、人間と時を同じくして亡くなった場合、飼い主のところで暮らすのだといいます。しかし、人間と動物は霊界でずっと一緒にいられるわけではありません。そもそも、人間は霊界にいると、やがて霊的向上を目指して動き出すので、動物にはついていけないのです。